講演情報

[P-11-2]糖尿病入院における体脂肪率を用いたインスリン抵抗性の評価について

*澤藤 州康1、眞鍋 裕紀1、藤谷 淳2、柴田 大河2、傍島 裕司2 (1. 大垣市民病町リハビリテーションセンター、2. 大垣市民病院 糖尿病・腎臓内科)
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キーワード:

体脂肪率、インスリン抵抗性、内臓脂肪面積

【目的】当院では,2型糖尿病患者の入院期間(11日間)においてInBody770を用いて体組成,内臓脂肪面積(VFA),HOMA-Rを測定し,体脂肪減少と骨格筋の維持・増加によるインスリン抵抗性(IR)の改善を目的に理学療法士が運動介入を行っている。HOMA-Rは空腹時血糖値が140 mg/dlを超える場合やインスリン分泌が低下している場合には信頼性が低下し,入院中のIR評価に用いることが困難な症例も存在する。そこで本研究では,内臓脂肪蓄積がIRを増悪させるという概念に基づき,VFA・体脂肪率・HOMA-Rの3変数間の関連を検討し,体脂肪率によるIR評価の可能性を検証した。

【方法】2019年11月~2025年3月に当院へ入院した2型糖尿病患者154名を対象とした。このうち血糖値140 mg/dl以下かつHOMA-β30%以上の15名を抽出し,3変数間のスピアマン順位相関分析を実施した。また,VFA100 cm²をIR区分値と仮定し,154名全例を対象に男女別単回帰式を算出し,体脂肪率を導出した上で,Fisher検定により整合性を確認した。

【結果】VFAとHOMA-R(ρ=0.52, P=0.045),VFAと体脂肪率(ρ=0.57, P=0.026),HOMA-Rと体脂肪率(ρ=0.53, P=0.042)の間にいずれも有意な相関を認めた。偏相関係数はそれぞれ0.32,0.41,0.33であった。回帰式は男性 y=0.08x+17.3,女性 y=0.08x+27.2 であり,VFA100 cm²は男性25.3%,女性35.2%の体脂肪率に相当した。Fisher検定では両群ともP<0.0001で整合性が確認された。

【結論】体脂肪率とHOMA-Rとの間に有意な相関を認め,体脂肪率を用いたIR評価の有用性が示唆された。体脂肪率は簡便かつ条件に左右されず,糖尿病入院中のIR評価において有効な指標となり得ると考えられる。ただし,VFA100 cm²以上の症例におけるIR検出率は41%とする報告もあり,区分値の妥当性や個体差の検証が今後の課題である。

倫理的配慮:
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,倫理委員会の承認を得て,患者が特定されないよう配慮した。

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