第31回画像センシングシンポジウム

オーガナイズドセッション

実応用から基礎まで画像センシングの新しい応用&技術革新について期待が高まるテーマを選りすぐり、講師の方々にご講演いただきます
 


OS1
LLM/VLMのエッジ推論に向けて
5/28(水)

オーガナイザー:進矢 陽介 ⽒
(株式会社センスタイムジャパン)

概要:LLMをはじめとする大規模モデルは、高性能である一方スケーリング則頼みで肥大化しており、エッジデバイス上での推論や、低遅延・省リソースが求められる分野での実用が困難です。本セッションでは、大規模モデルを軽量化しエッジで効率的に推論するための技術と課題について、画像・言語、ソフトウェア・ハードウェアの観点からご講演いただきます。

講演

エッジLLMハードウェアの問題 ~そして私たちに何ができるか~

登壇者:吉岡 健太郎 氏
(慶應義塾大学)

概要:CNNよりも遥かに巨大なLLMをエッジで効率的に動作させるにはハードウェア上の課題が噴出します。特に、LLMの巨大パラメータがメモリ通信を逼迫することが深刻な問題です。そもそもなぜGPUメモリにデータを全て格納する必要があるのか?という点から始め、最新のメモリ技術(HBMなど)について分析します。そして量子化やFlashAttentionなどのアルゴリズム最適化がいかに有効か、解決アプローチを探ります。

 

量子化手法の概要とエッジ開発における課題

登壇者:亀澤 諒亮 氏
(GO株式会社)

概要:ニューラルネットワーク軽量化の手段として、量子化は現在様々な場面で使われています。本講演では、量子化の種類やアルゴリズム、フレームワークやハードウェアの対応状況など多角的な観点から手法としての全体像を俯瞰します。また、エッジデバイス向け画像認識モデルの開発・デプロイにおいて量子化の利点とともにその実用上の課題についても議論します。

 

PFNにおけるSmall Language Modelの開発

登壇者:鈴木 脩司 氏
(株式会社Preferred Networks/株式会社Preferred Elements)

概要:ChatGPTなど今では多くの場面で言語モデルを活用することが増えてきています。ただ、ネットワーク環境やセキュリティなどの制約によりこれらのモデルの活用が難しい場面があります。こうした状況でも使える言語モデルとしてSmall Language Model(SLM)が今注目されています。この発表ではこのSLMをPFNでどのように開発しているのかを紹介します。

 

OS2
新たなセンシングの潮流
5/29(木)

オーガナイザー:関川 雄介 ⽒
(株式会社デンソーアイティーラボラトリ)

概要:本セッションでは、人間の視覚を超えるセンシングデバイスの進展を軸に、次世代センシング技術とその処理方法やアプリケーションについて幅広く議論する。自動運転の高度化が要請する高性能かつ高信頼なセンシング、イベントカメラが持つ高速性や高感度性を活用した新たなアプリケーション,マルチ/ハイパースペクトル領域における撮影・解析の深化による人の目では捉えられない情報の可視化など、最新技術とその可能性を探る。

講演

自動運転の性能と共に進化するセンシングデバイス

登壇者:小曽根 卓義 氏
(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)

概要:昨今の自動運転技術は目覚ましい発展を遂げていますが、そこにはセンシングの進化が不可欠です。なかでもカメラ+認識SWの進化においては既に一定の性能に到達した感があります。 今後はその性能が当たり前に受け入れられる、即ち機械への依存が強くなっていく中で、逆に機械が人に頼れない状況が発生し、結果さらなる性能向上が必要になると考えています。 そこで、今回は『人の目を超えたセンシング』について議論したいと思います。

 

イベントカメラの研究紹介と可視光通信への応用

登壇者:芝 慎太朗 氏
(ウーブン・バイ・トヨタ株式会社)

概要:イベントカメラは、変化があった画素のみで非同期なデータを得る、高時間解像度・低消費電力・ハイダイナミックレンジといった利点を持つカメラである。 この10年間の多数の研究により、様々なタスクに応用できることが示され、国際会議等での認知度も非常に高くなってきた。 この発表では、まず研究紹介を通してイベントカメラの汎用センサとしての潜在能力について議論し、後半ではアプリケーションの一例として、LED照明と組み合わせた可視光通信への応用について紹介する。

 

マルチ/ハイパースペクトル領域における高度な画像撮影および処理技術

登壇者:石原 慎 氏
(国立情報学研究所)

概要:マルチ/ハイパースペクトルカメラは光の波長情報を観測でき、RGBカメラよりも詳細な色の取得が可能である。 それだけでなく、撮影方法や光学系を工夫した新しい技術によって、スペクトルカメラを利用した三次元情報付加、反射成分分離、内部状態解析などが実現されてきている。 本発表では、これらの新しい技術を中心に、スペクトルカメラの応用について紹介する。

 

OS3
どの論文でもダメなんだけど! 〜実応用とその課題〜
5/30 (金) 

オーガナイザー:加藤 大晴 ⽒
(株式会社 Preferred Networks)

概要:研究活動から生み出される先端技術は、実課題を解決してこそ社会へと広がってゆくことができます。しかし産業界での実課題が論文等の形で共有される機会は少なく、学術研究と実課題との乖離を防ぐための場が望まれているといえます。そこで本セッションでは、自動運転、画像生成、ロボットの3分野で企業現場の最前線で活躍する方々に現場課題についてご講演いただくことで、学術界と産業界との相互理解と連携とを目指します。

講演

End-to-End 自動運転の実応用の現場から

登壇者:阿部 理也 氏
(チューリング株式会社)

概要:近年、車載センサ入力から経路計画を直接予測する End-to-End の自動運転技術が盛んに研究されており、産業界でも従来のモジュールベース手法に代わり採用が進んでいます。しかし、 End-to-End モデルを作ってから実際の車両で動かすまでには多くの課題が存在します。本講演では、チューリングにおける開発事例をもとに、このギャップとその解決策について議論します。

 

広告における画像生成技術の実応用の現状

登壇者:下田 和 氏
(サイバーエージェント)

概要:昨今、画像生成技術は拡散モデルの台頭やFlow matchingベースのモデルの登場などにより、広く注目を集めています。一方で、画像生成技術を実際のビジネスに活用している話を耳にする機会は比較的少ないのではないかと思います。サイバーエージェントにおける事例から、画像生成技術の実応用においてどのような課題があるのか、画像生成技術がどういった形で活用されているのかについて議論します。

 

有機ミニトマト農場におけるロボット開発と基礎研究

登壇者:森裕紀 氏
(早稲田大学次世代ロボット研究機構 研究院客員准教授・客員主任研究員 / 株式会社トクイテン 共同創業者・取締役)

概要:講演者は農業の持続可能性を高めるため有機農業を自動化するスタートアップを共同創業して、農業自動化のためのロボット開発を進めている。 本講演では、認知ロボティクスなどの基礎研究を行ってきたロボット研究者がスタートアップでどのようにロボット開発を行ってきたか報告する。