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[P01-03]非線形波形インバージョンによるCMT解析法の開発:日本周辺のCMT解への地球構造モデルの影響

*比嘉 大洋1、吉澤 和範1、木村 武志2 (1. 北海道大学、2. 防災科学技術研究所)
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セントロイド・モーメント・テンソル(Centroid Moment Tensor; CMT)は,主要な震源メカニズムを等価体積力の組み合わせで表す震源パラメータである.日常的に発生する地震に対し,国内外の機関が波形インバージョンによるCMT解析を実施しており,解析手法や対象地域の異なる複数のCMTカタログが公開されている.主要なカタログの一つであるGlobal CMTカタログ(Dziewonski et al., 1981; Ekström et al., 2012)は,世界中のMw5.0以上の地震を対象に,1976年以降のイベントを解析し,その結果を公開している.日本列島周辺域では,防災科学技術研究所が展開する広帯域地震観測網(F-net)を使用したMT解析(Fukuyama et al., 1998)によるF-net MTカタログや,気象庁独自の解析(Nakamura et al., 2003; Usui et al., 2013)による気象庁CMTカタログが整備されている.これらのカタログは震源の基礎的なデータベースとして地震学的研究で広く利用されている.しかし,いずれの手法でも合成波形の計算には1次元水平成層構造モデルを仮定している(ただしGCMTではPREM(Dziewonski & Anderson, 1981)を基に,グローバルな基本モード位相速度マップ(Ekström et al., 1997)による位相補正を適用).そのため,地球内部の3次元的な不均質性や異方性に起因して,推定される解に系統的バイアスが発生することが知られている(Sawade et al., 2022).特に日本列島周辺では顕著な3次元不均質性や異方性を有し,大きな影響を及ぼす可能性が高い.そのため,既存のカタログや速度構造モデルの妥当性を検証する上で,使用する構造モデルがCMT解に与える影響を評価することは重要である.本研究では,日本列島周辺の地震を対象に,列島内の広帯域地震観測点(F-net)を用いた場合の速度構造モデルの違いが,CMT解に及ぼす影響を検証する.複雑な内部構造に対応したCMT 解析を行うには,ローカルな構造の影響を取り入れた波形合成が必要不可欠である.そこで,波線理論に基づく波形合成手法である表面波WKBJ法を用いたCMT解析手法を開発した.表面波WKBJ法では,伝播経路における水平方向の不均質性の影響を反映した波形合成が可能にする.さらに,波線理論に基づく近似解を利用するため,波動論に基づく差分法と比較して計算コストが低く,簡便かつ実用的な解析が可能である.開発した手法を用い,2014年から2024年の10年間にF-net MTカタログに記載されたMw5.5以上,深さ30k〜100kmの日本周辺の地震を対象に,不均質性・異方性の異なる速度構造モデルを仮定したCMT解析を行い,その結果を比較した.仮定モデルとしては,水平成層構造モデルにPREM,3次元S波速度構造モデルにYoshizawa et al. (2010)のモデルを使用し,それぞれ等方性・異方性を切り替えて解析を実施した.その結果,東北沖の地震では,仮定モデルにより推定されるセントロイド位置が異なり,特に水平位置では等方性と異方性で異なる傾向が見られた.日向灘の地震では,3次元異方性モデルの適用時にDouble Couple (DC)率が増加する事例が確認された.一方, 3次元構造モデルを使用した解析では,対象の地震や観測点分布によって結果が大きく変動し,不安定性が目立った.これに対し,PREMを使用した場合は,比較的安定した結果が得られた.3次元モデル使用時の不安定性は,波線経路上のローカル構造モデルの精度が不均一であること等に起因する可能性があり,さらなる検証が必要である.