講演情報

[P01-06]3次元数値シミュレーションを用いたレシーバ関数解析によるフィリピン海スラブ検出感度の定量評価

*市部 悠斗1、川方 裕則1、佐脇 泰典1 (1. 立命館大学)
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レシーバ関数(RF)解析 [e.g., Langston, 1979] は,モホ面や沈み込むスラブ上面 [e.g., Sawaki et al., 2021] など,音響インピーダンスの面的な急変,特に速度の面的な急変を抽出するために広く用いられてきた.RFは特にS波速度構造の急激な変化に対して高い感度を持ち,モホ面や沈み込むスラブのイメージングに有効である [e.g., Kawakatsu and Watada, 2007].しかし,沈み込むスラブの傾斜角 [e.g., Abe et al., 2011],スラブ表面の粗さ,スラブ内外の速度差などによって,RFおよびイメージング結果は顕著な影響を受ける可能性がある.これまでに,沈み込むスラブ表面における波動伝播を数値シミュレーションで調べた研究は多く存在するものの,合成波形を用いてRF解析のスラブ表面の検出感度,検出能力を定量的に評価した研究は少ない. 周波数領域でRFを計算する場合,上下動成分のパワースペクトルにスペクトルホールが存在すると,デコンボリューションが不安定になることが知られており [e.g., Ammon, 1991],数値シミュレーションなどによる合成波形によって計算される合成RFにおいても,同様にスペクトルホールの影響を受ける.Ichibe et al. (2024) は,数値シミュレーションにおける合成RFの計算において,合成RFの計算にはスペクトルホールを含まない適切な震源時間関数の設定が必要であることを指摘した.南海トラフでは,フィリピン海スラブ(PHS)の北西方向への沈み込みに伴い,100–150年間隔で海溝型巨大地震が発生し [e.g., Ando, 1975],震源域の浅部および深部延長ではスロー地震が検出されている [e.g., Obara and Kato, 2016].このため,PHSの複雑な形状を推定することは,沈み込み帯の地震テクトニクスを理解するうえで極めて重要であるが,PHSの傾斜角や表面の粗さ,内外の速度.そこで本研究では,既存のPHSモデルから推定された形状・物性を用いて構築した3次元PHSモデル,単純化した3次元傾斜構造などを用いて数値シミュレーションを行い,合成RFを計算することで,スラブ表面の検出感度,検出能力を定量的に評価した.3次元有限差分波動場シミュレーションとして,OpenSWPC [e.g., Maeda et al., 2017] を用い,Ichibe et al. (2024) による適切な震源時間関数を設定した.3次元PHSモデルは,ALJ2023 [e.g., Matsubara et al., 2022] に基づき作成した格子状モデルをベースとして,JIVSM [e.g., Koketsu et al., 2012] のスラブ形状および物性を置換することで構築した.各モデルで合成されたRFが示す相の極性や到達時刻と設定したモデルの整合性を評価するとともに,各相のパルス幅や相対振幅についても着目することで,境界の速度比や形状がその検出感度に与える影響について議論する.