講演情報

[P02-07]次世代WINシステムの開発(第2期)に向けて

*中川 茂樹1 (1. 東京大学地震研究所)
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1.はじめに
地震・地殻変動等の時系列データの伝送や検測処理に広く用いられているWINシステム(卜部・束田,1991;卜部・束田,1992;卜部,1994など)は、大学等の基幹システムとして30年近くにわたって使い続けられ、事実上の日本標準システムとなっている。高機能で永年使い続けられているが故に、対話検測処理ソフトウェアは検測処理の高度化や操作性の近代化等の機能向上を図ることが難しくなりつつある。一方、この四半世紀で、ハードウェアの性能が大幅に向上したほか、マルチプラットフォームに対応した言語や対話処理に優れた入力デバイスの開発が進み、ハードウェア環境に依存しないソフトウェア群の構築が可能になってきた。そこで、マルチプラットフォームのソフトウェア群(次世代WIN)の開発を進めている。

2.対話検測ソフトウェア
この取り組みの一環として、これまで対話検測ソフトウェアとして必要な機能を実装した新たなソフトウェアを試作してきた(中川・他,地震学会,2023;中川・他,JpGU,2025等)。このソフトウェアは、WINフォーマット波形データの読み込みと表示、帯域制限フィルターの適用、手動検測、震源計算プログラムやメカニズム解計算プログラムの実行、メカニズム解の表示、ランニングスペクトルの表示、震源計算結果や震源データを地図上にカラー表示する機能を持つ。1つのソースコードからUnix (Linux,FreeBSD)、Windows、macOS の複数プラットフォーム上で動作するネイティブバイナリをそれぞれの環境下でコンパイルできる特徴を有する。
作成した対話検測ソフトウェアは、WEBサイトを通じて研究者や技術者へ公開している。興味のある方は著者までご連絡ください。

3.次世代WINシステムの開発(第2期)
現在、次世代WINシステムの開発(第2期)として、伝送系システムの試作に向けて仕様の検討を進めている。伝送系システムでは検討すべき事項が多岐にわたる。
データフォーマットでは、WINのチャネルID不足、秒以下の時刻の表現、高サンプリングレート及び低サンプリングレートへの対応等が主な課題となっている。最近では、DASに代表されるように従来の地震観測では想定していない、多数のチャンネルを用いた空間密度の高い観測ができるようになってきており、チャネルIDには新たな考え方の導入が必要となっている。また、伝送プロトコルでは、伝送回線の特徴や流れるデータ量に最適化した通信プロトコルの選択と開発、データの適切な分割、エラー検出符号の導入、再送制御の高度化等が主な課題となっている。
今回、伝送系システムの試作に向けて、データフォーマットや伝送プロトコル(伝送プログラム)を任意に変えて実験することができる小型の装置を作成した。伝送システムの検討課題とともに紹介する。

謝辞:本研究では、国立研究開発法人防災科学技術研究所、北海道大学、弘前大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、高知大学、九州大学、鹿児島大学及び気象庁の地震観測データを用いました。ここに記して感謝します。なお、本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第3次)」の支援及びJSPS科研費 JP20K05025の助成を受けました。