講演情報
[P08-04]北米西海岸カスケードスロースリップを用いた有効法線応力の絶対値の推定
*佐藤 利典1、坂田 栞奈2 (1. 千葉大学大学院理学研究院、2. 千葉大学理学部地球科学科)
1. はじめに
スロースリップ(SSE)は、1990年代のGNSSの観測以来発見された、地震波を伴わない断層運動である。沈み込み帯などでは、数日から数か月かけて数~数十cmの準静的なすべりが観測されている。Kobayashi and Sato (GRL, 2021)は、準静的なすべりと応力の変化の関係から、その場の有効法線応力の絶対値を求める方法を開発した。房総沖SSEから、有効法線応力の絶対値は10~50MPaと求められた。また、笹川、佐藤(JpGU, 2025)では、豊後水道の長期SSEに上記方法を適用し、10~50MPaと同様の結果を得た。これは、その場の静岩圧(500~600MPa)より非常に低い値で、SSEを起こしている断層の間隙圧が非常に高いことを意味している。また、有効法線応力とすべり量に正の相関があることも示された。本発表では、上記方法を北米西海岸のカスケードSSEに適用し、有効法線応力の絶対値を求め、他の地域との比較を行う。
2. データと解析方法
使用したデータは、Nevada Geodetic Laboratoryが公開しているGNSSデータである。解析方法は、Kobayashi and Sato (GRL, 2021)と同様である。GNSSデータから線形トレンドや季節変動を取り除き、なめらかな曲線をfittingした後、SSE発生期間を5日ごとの変動データに分けて、すべりの時空間分布を求めた。この際、拘束条件として、すべりの時間、空間のなめらかさ、すべり方向がプレート運動方向と一致すること、観測点全体の運動(回転、平行移動、膨張)が小さいことの4つを与え、その度合いをABICを用いて客観的に決定した。応力変化は、USGSのCoulomb3.3を用いて計算した。
3. 結果
今回解析したのは、2008年に発生したカスケードSSEである。すべりの時空間分布は、この地域の中心付近ですべりが始まり、その後、南部でもすべりが始まり、中心付近のすべりは北へと広がった。1か月半のすべりで、最大すべりは中心部分で約4cm、南側で約3.5cmとなった。すべり速度と応力変化の時間変化のグラフから有効法線応力を求めると、5~10MPaとなった。これはこの深さでの静岩圧(900MPa)と比較して、非常に小さい値で、間隙圧が非常に高いことを意味する。また、房総SSEや豊後水道SSEと比較して低い有効法線応力を示すが、すべり量が他地域より小さい(他地域は、10~20cm)ことから、すべりと応力間に正の相関があることも示された。
謝辞:GNSSデータとしてNevada Geodetic Laboratoryのデータを使用しました。また、応力変化の計算では、USGSのCoulomb3.3を用いました。記して感謝します。この研究は、科研費(23K03541) の補助を受けました。
スロースリップ(SSE)は、1990年代のGNSSの観測以来発見された、地震波を伴わない断層運動である。沈み込み帯などでは、数日から数か月かけて数~数十cmの準静的なすべりが観測されている。Kobayashi and Sato (GRL, 2021)は、準静的なすべりと応力の変化の関係から、その場の有効法線応力の絶対値を求める方法を開発した。房総沖SSEから、有効法線応力の絶対値は10~50MPaと求められた。また、笹川、佐藤(JpGU, 2025)では、豊後水道の長期SSEに上記方法を適用し、10~50MPaと同様の結果を得た。これは、その場の静岩圧(500~600MPa)より非常に低い値で、SSEを起こしている断層の間隙圧が非常に高いことを意味している。また、有効法線応力とすべり量に正の相関があることも示された。本発表では、上記方法を北米西海岸のカスケードSSEに適用し、有効法線応力の絶対値を求め、他の地域との比較を行う。
2. データと解析方法
使用したデータは、Nevada Geodetic Laboratoryが公開しているGNSSデータである。解析方法は、Kobayashi and Sato (GRL, 2021)と同様である。GNSSデータから線形トレンドや季節変動を取り除き、なめらかな曲線をfittingした後、SSE発生期間を5日ごとの変動データに分けて、すべりの時空間分布を求めた。この際、拘束条件として、すべりの時間、空間のなめらかさ、すべり方向がプレート運動方向と一致すること、観測点全体の運動(回転、平行移動、膨張)が小さいことの4つを与え、その度合いをABICを用いて客観的に決定した。応力変化は、USGSのCoulomb3.3を用いて計算した。
3. 結果
今回解析したのは、2008年に発生したカスケードSSEである。すべりの時空間分布は、この地域の中心付近ですべりが始まり、その後、南部でもすべりが始まり、中心付近のすべりは北へと広がった。1か月半のすべりで、最大すべりは中心部分で約4cm、南側で約3.5cmとなった。すべり速度と応力変化の時間変化のグラフから有効法線応力を求めると、5~10MPaとなった。これはこの深さでの静岩圧(900MPa)と比較して、非常に小さい値で、間隙圧が非常に高いことを意味する。また、房総SSEや豊後水道SSEと比較して低い有効法線応力を示すが、すべり量が他地域より小さい(他地域は、10~20cm)ことから、すべりと応力間に正の相関があることも示された。
謝辞:GNSSデータとしてNevada Geodetic Laboratoryのデータを使用しました。また、応力変化の計算では、USGSのCoulomb3.3を用いました。記して感謝します。この研究は、科研費(23K03541) の補助を受けました。
