講演情報
[P08-05]実体波および表面波から推定されるMw 7.7ミャンマー地震の複雑な地震波放射過程
*垂水 洸太郎1、吉澤 和範1 (1. 北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)
2025年3月28日,ほぼ鉛直な横ずれ断層を震源とするMw 7.7ミャンマー地震が発生した.この地震によって観測された遠地の広帯域地震波形では,北方に位置する観測点で,実体波の北向きの指向性パルスが観測されている(e.g., Inoue et al., 2025, Seismica; Ye et al., 2025, The Seismic Record).一方で,地球を周回する表面波は,顕著な南向きの破壊伝播による指向性を示している.加えて,既存の震源モデルからは,超せん断破壊や逆破壊伝播のような複雑な破壊現象の発生が示唆されている(e.g., Inoue et al., 2025, Seismica; Ye et al., 2025, The Seismic Record).本研究では,実体波(〜2.0 Hz)および表面波(3–50 mHz)を用いた広帯域波形記録から,この地震における地震波放射過程を検証する.
まず,Global Seismographic Network(GSN)で観測された遠地P波の放射過程を,複数の周波数帯域(0.05–0.5 Hz; 0.1–1.0 Hz; 0.3–2.0 Hz)毎のBack projection法を用いて推定した.その結果,発震時刻から約100秒間かけて,P波の放射源が震源から北に約100 km,南に約350 kmに渡る広い領域を移動する様子が捉えられた.特に,発震時刻から約30秒間では,帯域によらず,P波源が震源から南北の両方向に100 km程度移動しており,北方の観測点で見られる実体波の指向性パルスの要因と考えられる.一方で,発震時刻から40秒以降では,震源北部からの放射はなく,震源域南部から高周波P波のみが断続的に励起される様子が見られた.この震源南方からの高周波P波の放射は,発震から約100秒後まで継続しており,長周期表面波から見られる南方への指向性との関連性が示唆される.この南方での比較的強い高周波源の空間分布は断層の分岐点(Tun & Watkinson, 2017)と概ね調和的であり,そこから高周波のP波源が破壊フロントの進展方向とは逆向きに(北へ)移動するように見える.これらのP波源の分布はInoue et al. (2017, Seismica)で指摘されている逆伝播破壊と時空間的に整合的であり,断層の分岐点が高周波P波の放射に加え逆伝播破壊にも関与した可能性が示唆される.
まず,Global Seismographic Network(GSN)で観測された遠地P波の放射過程を,複数の周波数帯域(0.05–0.5 Hz; 0.1–1.0 Hz; 0.3–2.0 Hz)毎のBack projection法を用いて推定した.その結果,発震時刻から約100秒間かけて,P波の放射源が震源から北に約100 km,南に約350 kmに渡る広い領域を移動する様子が捉えられた.特に,発震時刻から約30秒間では,帯域によらず,P波源が震源から南北の両方向に100 km程度移動しており,北方の観測点で見られる実体波の指向性パルスの要因と考えられる.一方で,発震時刻から40秒以降では,震源北部からの放射はなく,震源域南部から高周波P波のみが断続的に励起される様子が見られた.この震源南方からの高周波P波の放射は,発震から約100秒後まで継続しており,長周期表面波から見られる南方への指向性との関連性が示唆される.この南方での比較的強い高周波源の空間分布は断層の分岐点(Tun & Watkinson, 2017)と概ね調和的であり,そこから高周波のP波源が破壊フロントの進展方向とは逆向きに(北へ)移動するように見える.これらのP波源の分布はInoue et al. (2017, Seismica)で指摘されている逆伝播破壊と時空間的に整合的であり,断層の分岐点が高周波P波の放射に加え逆伝播破壊にも関与した可能性が示唆される.
