講演情報

[P08-13]日向灘域における浅部超低周波地震活動の潮汐応答性

*栃谷 修吾1、須田 直樹1 (1. 広島大学)
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南海トラフ沈み込み帯で発生する深部低周波微動や琉球海溝沈み込み帯で発生する浅部超低周波地震(SVLFE)の解析から,潮汐に対して高い応答性を示す震源域の存在が示されている(Ide 2010; 2012, Nakamura & Kakazu 2017) 。このようなスロー地震の潮汐応答性は沈み込むプレート境界の遷移域の状態を反映していると考えられ, その時空間的特徴を調査することは重要である。本研究では日向灘域で発生するSVLFEの震央を相関法により決定し,活動の潮汐応答性を調べた。

使用したデータは2005年1月1日から2025年1月31日までの紀伊半島・中四国・九州の27観測点からのF-net広帯域地震計記録の上下動成分である。20-50秒のバンドパスフィルターをかけて1秒ごとに再サンプリングした波形に相関法を適用してSVLFEの震央を決定した。波形の解析は時間幅300秒,時間ステップ150秒で連続的に行った。検出された震央のうちブートストラップ法による誤差が7.5 km以下のものを結果として採用した。

求められた震央は沈み込む九州-パラオ海嶺のフロントを縁取るように分布しており,その北東端は足摺岬南方まで,南東端は種子島東方まで達していた。解析期間中には時空間的に大きな広がりを有する大規模活動が2008, 2010, 2013, 2015, 2016, 2017-2018, 2019, 2021, 2023, 2024, 2025年の計11回発生しており, このうち2008, 2016, 2024年の活動はそれぞれ四川大地震, 熊本地震, 日向灘地震の直後から開始していたことから誘発活動であると考えられる。

解析期間全体と各大規模活動について, 1時間ごとのイベント発生数とTidalStrain.2(Hirose et al. 2019)を用いて計算した理論潮汐応力値を比較した。その結果, 解析期間全体と誘発活動を除く大規模活動では潮汐によるせん断応力が断層滑りを促進させる時間帯でイベントが多く発生しており, その傾向は活動が活発になるほど強く見られた。一方, 誘発活動ではそのような傾向は見られず, 大地震による応力擾乱によって活動の潮汐への応答性が見かけ上小さくなったことが示唆される。発表ではこれらの結果について統計的観点から議論を行う予定である。

本研究では国立研究開発法人防災科学技術研究所のF-netデータを使用しました。記して感謝申し上げます。