講演情報
[P09-16]北海道北部の浅部地殻の応力場
*田上 綾香1,2、高橋 浩晃3、大園 真子3、岡田 知己2 (1. 国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2. 東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター、3. 北海道大学大学院理学研究院附属 地震火山研究観測センター)
北海道北部はアムールプレートとオホーツクプレートの境界に位置する(Heki et al. 1999)。本地域ではM 4~6程度の地震が数十年毎に発生し(例えば2004年留萌支庁南部の地震Mjma 6.1)、地震活動度が高い地域である。発生する地震のメカニズム解は東西圧縮の逆断層型であり(高橋・笠原, 2005)、逆断層型の応力場が推定されている(Terakawa and Matsu’ura, 2010)。しかし、北見山地では地震活動の空白域があり、この地震活動の境界は南北に細長く延びる神居古潭変成帯の分布と整合的である(田村・他, 2003)。本地域は周囲が海に囲まれていることから観測データの数と質が不十分であり、地震活動については不明な部分が多い。
北海道北部の浅部地殻における地震の発生と周辺環境との関係を論じることを最終的な目的とし、本研究では現在利用可能なメカニズム解を用いて北海道北部の応力場の推定を行い、その特徴の確認を行なった。
データ・手法
モーメントテンソルインバージョン法(Michael 1984; 1987)で応力場を推定した。データはF-net モーメントテンソル解(1997-2024, Mjma 3.5-, VR > 60)とUchide et al. (2020)のP波初動押し引きの解(2003-2020, Mjma 0.5-3.1, 品質A・B)を使用した。対象領域として活動空白域である北見山地より西の141.5°E-142.5°E, 43.5°N-46.0°N、深さ0-30 kmを設定した。
結果
・メカニズム解の分布
対象地域には149個のメカニズム解が分布し、全体の67%が逆断層型を示した。少数の正断層型・横ずれ断層型のメカニズム解の存在が確認され、44.5°N -45.0°Nに分布する傾向にあった。メカニズム解のP軸方向は東西方向に卓越する。西岸では南北方向のP軸を持つメカニズム解が少数(全体の0.7%)確認された。
・応力場
応力場の空間変化を確認するため、緯度1°×経度1°、緯度0.5°ずつオーバーラップさせた8つの地域を設定し、応力場の推定を行なった。推定した応力解は全ての地域において東西圧縮の逆断層型の応力場を示した。最も南の地域では最大水平圧縮方向SHmaxや主応力方向の誤差が大きかった。この地域に分布するメカニズム解のP軸方向はばらつきが大きいため、それを反映したものと考えられる。
2004年のMjma6.1の地震の発生を踏まえ、応力場の時間変化を確認するため、期間を3-4年毎に分割した5つのデータセット(1997-2003、2004-2006、2007-2011、2012-2016、2017-2024)を作成し応力場の推定を行なった。推定した応力場は2004-2024の間のどの期間においても東西圧縮の逆断層型の応力場を示した。1997-2003では解の誤差が大きいが、これはデータの少なさが影響していると考えられる。
考察
今回の対象地域である北海道北部では東西圧縮の逆断層型の応力場が広く分布し、2004年から現在まで応力場の大きな変化は推定されていない。先行研究で推定されたひずみ場は東西方向の収縮方向を示しており、本研究と整合的である(e.g., Ohzono et al., 2015)。
44.5°N -45.0°Nの領域東側に少数の正断層型・横ずれ断層型のメカニズム解が確認された。この地域はブーゲー重力異常図(村田・他, 2000)では大きい重力異常が分布し、シームレス地質図(AIST, 2025)からは超苦鉄質岩の存在が確認される。本地域(141.5°E-142.5°E, 43.5°N-46.0°N)の大部分には密度の低い堆積岩層が広がっている。超苦鉄質岩の密度を3.3 g/cm3、 堆積岩の密度を2.3 g/cm3 と仮定すると、有効鉛直応力は超苦鉄質岩で 225.4 bar/km 、堆積岩で 127.4 bar/kmとなる。岩層の密度の違いによる鉛直応力の大きさの違いが影響し、超苦鉄質岩が分布する44.5°N -45.0°Nの領域東側で局所的に鉛直応力が大きく、正断層型や横ずれ断層型の地震が発生している可能性が考えられる。本考察は表層の情報のみを用いた考察であり、より詳細な地震の発生の要因を考えるために地下構造やメカニズム解の深さ変化に関しての情報を今後得る必要がある。
北海道北部の浅部地殻における地震の発生と周辺環境との関係を論じることを最終的な目的とし、本研究では現在利用可能なメカニズム解を用いて北海道北部の応力場の推定を行い、その特徴の確認を行なった。
データ・手法
モーメントテンソルインバージョン法(Michael 1984; 1987)で応力場を推定した。データはF-net モーメントテンソル解(1997-2024, Mjma 3.5-, VR > 60)とUchide et al. (2020)のP波初動押し引きの解(2003-2020, Mjma 0.5-3.1, 品質A・B)を使用した。対象領域として活動空白域である北見山地より西の141.5°E-142.5°E, 43.5°N-46.0°N、深さ0-30 kmを設定した。
結果
・メカニズム解の分布
対象地域には149個のメカニズム解が分布し、全体の67%が逆断層型を示した。少数の正断層型・横ずれ断層型のメカニズム解の存在が確認され、44.5°N -45.0°Nに分布する傾向にあった。メカニズム解のP軸方向は東西方向に卓越する。西岸では南北方向のP軸を持つメカニズム解が少数(全体の0.7%)確認された。
・応力場
応力場の空間変化を確認するため、緯度1°×経度1°、緯度0.5°ずつオーバーラップさせた8つの地域を設定し、応力場の推定を行なった。推定した応力解は全ての地域において東西圧縮の逆断層型の応力場を示した。最も南の地域では最大水平圧縮方向SHmaxや主応力方向の誤差が大きかった。この地域に分布するメカニズム解のP軸方向はばらつきが大きいため、それを反映したものと考えられる。
2004年のMjma6.1の地震の発生を踏まえ、応力場の時間変化を確認するため、期間を3-4年毎に分割した5つのデータセット(1997-2003、2004-2006、2007-2011、2012-2016、2017-2024)を作成し応力場の推定を行なった。推定した応力場は2004-2024の間のどの期間においても東西圧縮の逆断層型の応力場を示した。1997-2003では解の誤差が大きいが、これはデータの少なさが影響していると考えられる。
考察
今回の対象地域である北海道北部では東西圧縮の逆断層型の応力場が広く分布し、2004年から現在まで応力場の大きな変化は推定されていない。先行研究で推定されたひずみ場は東西方向の収縮方向を示しており、本研究と整合的である(e.g., Ohzono et al., 2015)。
44.5°N -45.0°Nの領域東側に少数の正断層型・横ずれ断層型のメカニズム解が確認された。この地域はブーゲー重力異常図(村田・他, 2000)では大きい重力異常が分布し、シームレス地質図(AIST, 2025)からは超苦鉄質岩の存在が確認される。本地域(141.5°E-142.5°E, 43.5°N-46.0°N)の大部分には密度の低い堆積岩層が広がっている。超苦鉄質岩の密度を3.3 g/cm3、 堆積岩の密度を2.3 g/cm3 と仮定すると、有効鉛直応力は超苦鉄質岩で 225.4 bar/km 、堆積岩で 127.4 bar/kmとなる。岩層の密度の違いによる鉛直応力の大きさの違いが影響し、超苦鉄質岩が分布する44.5°N -45.0°Nの領域東側で局所的に鉛直応力が大きく、正断層型や横ずれ断層型の地震が発生している可能性が考えられる。本考察は表層の情報のみを用いた考察であり、より詳細な地震の発生の要因を考えるために地下構造やメカニズム解の深さ変化に関しての情報を今後得る必要がある。
