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[P15-06]1993年北海道南西沖地震の特性化震源モデルと震源近傍での強震動の推定

*佐藤 智美1 (1. 清水建設(株))
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日本海東縁の地震の強震動予測の高度化を目指して、10地点での強震記録を用いて経験的グリーン関数法(Dan et al., 1989)に基づき1993年北海道南西沖地震(MJ7.8)に対する0.2~10Hzの強震動を再現する特性化震源モデルを推定した。また、推定特性化震源モデルを用いて、地震発生後に観測が開始した震源近傍のK-NET観測点で強震動を推定した。
 1993年7月12日のMJ6.0の地震と1993年8月8日のMJ6.3の地震を要素地震として用いた。MJ6.0の地震は今西ほか(1995)、MJ6.3の地震はGlobal CMT解の地震モーメントを用いた。要素地震のコーナー周波数は、41個の中規模地震の震源距離200km以下の91観測点の記録からスペクトルインバージョンにより分離した震源スペクトルの比にw-2モデルの比をフィッテイングさせて推定した。特性化震源モデルの推定には気象庁87型の6観測点、港湾航空技術研究所の3観測点、大ダム会議の1観測点の水平2成分と上下成分の0.2~10Hzの加速度波形のエンベロープと0.2~1Hzの速度波形を用いた。国土交通省(2014)のF14断層を参照して、破壊開始点が載る断層(中部断層)とその南北に強震動生成域SMGAを探索する断層面を設定した。中部断層の北領域と南領域にそれぞれ1つのSMGA、北断層、南断層にそれぞれ1つの合計4つのSMGAを仮定し、SMGAの位置と大きさと応力降下量、4つの領域の破壊伝播速度の他、中部断層と南断層の間での破壊停止時間Tlagをパラメータとして焼きなまし法(Ingber, 1993)でパラメータを推定した。距離補正にはスペクトルインバージョンに基づく周波数f依存のQ=95f0.73と実体波の幾何減衰を用いた。
 その結果、Tlagは1~10Hzの加速度波形エンベロープを用いたKakehi and Irikura(1997)の推定値10秒とほぼ同じ11秒と推定された。Tlag=0sと固定した検討を行った結果、南側の観測点において、加速度波形ではTlagの影響は明瞭であるもの、速度波形では中部断層のSMGAの後続波が南断層のSMGAからの主要動部にオーバーラップするためTlagの影響は不明瞭になることがわかった。したがって、長周期波形をターゲットとした既往の震源モデルでTlag=0sが最適と推定されたものと考えられる。本研究で推定した短周期レベルAは、壇ほか(2002)の推定値の約2倍と大きかった。この違いの原因として、壇ほか(2002)ではAをMendosa and Fukuyama(1996)の各サブフォールトでのすべり速度時間関数が最終すべり量の10~70%となる平均速度を用いて算出していることと、要素地震のBrune(1970)の応力降下量が本研究の推定値より小さいことが考えられる。また、Tanioka et al.(1996)のCMT解に基づくM0と本研究のAの関係は活断層で発生する長大断層地震のM0-Aの関係(藤堂ほか, 2022: 引間・新村, 2023)より大きく、太平洋プレートのプレート境界地震のM0-A関係(佐藤, 2010)と合うことが分かった。Brune(1970)の応力降下量が36.9MPaと大きく、サイズが6km×12kmと比較的小さい強震動生成域が南断層の奥尻島近くに推定され、これが奥尻島の地震動に寄与したことがわかった。
 推定した特性化震源モデルを用いて、1993年北海道南西沖地震後に設置された断層最短距離120km以下の13個のK-NET観測点で強震動を推定した。要素地震としては1997年10月10日のMJ5.2の地震と2005年12月13日のMJ5.5の地震を用いた。経験的グリーン関数法に基づく地表での計算波から、経験式(佐藤, 2015)に基づき地盤の非線形性を考慮した最大加速度、最大速度、計測震度を推定した。さらに、奥尻島にあり断層最短距離9.6kmの軟弱地盤上のHKD173(K-NET青苗)では、防災科学技術研究所のPS検層結果と太田ほか(1994)の青苗岬での室内動的試験結果に基づく砂質地盤の動的変形特性を用いて、DYNEQ(吉田, 2021)により等価線形解析を行い地表での波形を推定した。その結果、HKD173では水平成分が周期1秒で卓越し最大速度が100cm/s強で、計測震度6.5前後の大きな地震動が推定された。これは、青苗墓地での墓石転倒率は95%以上という推定結果(翠川, 1994)とも整合する。断層最短距離120km以下の13個のK-NET観測点の最大加速度は、距離がほぼ同じ観測波の最大加速度(土木学会, 1997)とも平均的に整合していた。また、最大加速度はMorikawa and Fujiwara(2013)の地震動予測式の平均+標準偏差レベル、計測震度は平均レベルと推定された。