講演情報

[P15-14]強震動シミュレーションにおける断層・波動伝播モデリングスキームの改良

*岩城 麻子1、今井 隆太1、前田 宜浩1、森川 信之1、藤原 広行1 (1. 防災科学技術研究所)
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記録の少ない大地震や震源近傍の強い揺れに対する被害想定やハザード・リスク評価において、数値シミュレーションによる強震動予測(本稿では以下、強震動シミュレーションという)は限られたデータや知見を補う役割を果たしている。ここでの強震動シミュレーションは、断層モデルと地下構造モデルに基づく決定論的アプローチをとるが、ハザード評価等での利活用においては、シミュレーション結果と併せてシミュレーション手法やモデルの選択に起因する不確かさ(とばらつき)を提示することが近年重要性を増している。そのためには、シミュレーションの枠組みにおいて、複数の考え方に基づくシミュレーション手法・モデルを実装可能であること、それらを効率的に計算可能であることが求められる。
このような背景を踏まえ、強震動シミュレーションの高効率化・高精度化のため、運動学的断層モデルや、波動伝播モデルリングスキームの改良を進めている。本発表ではこれらの経過と今後の見通しについて報告する。

・運動学的断層モデル
内陸活断層地震の断層近傍の強震動予測やハザード評価では、地表付近を含む断層のモデル化手法の影響が大きい。強震動シミュレーションのための断層モデルには多様なアプローチによるモデルが国内外に存在しており、信頼性の高い強震動予測のためにはそれらの定量的な比較は重要である。そこで、日本の強震動予測における断層モデル(地震本部, 2022)をベースに、地表断層を含む詳細な断層形状の取り込みや、複数の考え方に基づく運動学的パラメータ設定を効率的に実装可能なツールを開発し、国内外の顕著な地殻内地震について異なる断層モデル同士の比較を行う。

・波動伝播モデル
波動伝播過程において特に地下構造モデルに起因する不確かさの評価を行うためには、波動伝播計算を安定的かつ効率的に行う必要がある。我々は、3次元差分法による地震波動伝播シミュレーションにおいて、数値発散抑制を目的とした平滑化スキーム(SDwave; Imai et al. 2018)を開発しており、計算の安定化に貢献することを確認している。SDWaveは高周波成分をフィルタリングする効果を持ち数値発散を抑えることができるが、通常の差分法による波動場計算に比べ、空間的により幅広のステンシルを参照するため計算コストが高いことが課題となっている。SDWaveの計算効率向上を目的として、計算格子点上の変位・応力場を入力とし、平滑化項を出力するニューラルネットワークを事前に学習させ、波動伝播計算中に逐次呼び出して平滑化項を評価するスキームを開発する。

謝辞:本研究の一部は内閣府特定重要技術研究推進事業の助成を受けたものである。