講演情報

[P15-18]後続破壊のP波を用いたマグニチュード即時推定の試み

*小寺 祐貴1 (1. 気象庁気象研究所地震津波研究部)
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点震源などの震源モデルに基づく地震動即時予測においては、正確なマグニチュード(M)をいかに早く推定できるかが、強震動を迅速に予測するうえで重要な要素のひとつである。地震波形の最初の部分(P波初動から数秒程度)のみからでは地震の最終的な破壊を予測することは困難であるという立場に立つと、Mを過小評価せずに推定するためには振幅の最大値をP波初動からイベント終了時まで継続的にトラッキングし続ける方法が有効である。気象庁の緊急地震速報のM推定もこの方法を採用しており、P波初動を検出してから変位振幅(3成分合成)の最大値をM推定のために連続的に算出している。更に、S波到達前でもMを早期推定できるよう、地震波形全体の最大振幅を用いる全相M式のほか、理論S波到達前の最大振幅のみを対象としたP相M式の計算も行っており、理論S波到達時刻を超過したかどうかに応じて2つのM式を切り替える処理にしている。
M推定にP波の最大振幅を用いることは迅速性の向上に有効ではあるが、現状ではP波の適用はS波初動到達までのウインドウに限られており、破壊継続時間が数十秒を超えるようなM7~8クラス以上の地震に対しては、S波初動の到達前までのP波では破壊の全体像を捉えられない可能性がある。一方で、巨大地震ではS波初動の到達後でも、後続破壊によって放出されたP波が観測されている例があり(例えば、Kurahashi and Irikura, 2013; Kodera, 2018)、P波によるM推定はS波初動到達までのウインドウを超えて実施できる可能性がある。本研究では、S波初動到達後に現れる後続破壊のP波を用いてM推定が可能かどうか検証を行った。
2011年東北地方太平洋沖地震におけるKiK-net観測点の観測波形を対象としてM計算を実施した。後続破壊のP波が入射する際は上下動成分のみから計算したリアルタイム震度(功刀・他、2013)が卓越するため(Kodera, 2018)、P波区間の判定にはリアルタイム震度を指標とした。上下動リアルタイム震度に0.25を加算した値が3成分合成のリアルタイム震度よりも大きい場合をP波区間と見做し、P相M式によるMを採用した。この方法で推定されたP波区間は、P波初動からS波初動到達までのタイムウィンドウを超えるものとなり、例えばMYGH04の観測点では強震動生成域のS波が入射し始める時間(地震発生時刻から約54秒後)までがP波区間の判定となった。また、P相M式によるMは全相M式によるMに比べて1程度大きく算出されるため、P波区間の延長により、各観測点のMが8を超えるタイミングが数秒~数十秒早まることが分かった。合わせて、上下動リアルタイム震度を基準としたP相M式から全相M式への切り替えにより、過度に大きなMの算出は抑えられていることも確認できた。一方で、S波が一部混入しているタイムウィンドウ内でP相M式をそのまま適用しているためか、全相M式で算出されるMに比べてP相M式のMはやや大きな値となる傾向にあった。今後はより精度の良いM推定が実施可能となるよう、P波区間中のM算出方法の改良などを行う予定である。

謝辞:本研究では防災科学技術研究所のKiK-netの観測波形記録を使用しました。