講演情報
[P16-02]岡山平野南部児島湾沿岸部における微動探査
*山田 伸之1、竹中 博士2 (1. 高知大学、2. 岡山大学)
中国地方の主要都市の一つの岡山市域では,発生が危惧される南海トラフの地震などで,同市南部の一部で強い揺れが想定されており(地震調査研究推進本部(2020)),岡山都市圏での地震基盤構造をはじめ,地表部分の速度構造も明確にしておくことは,地震防災上重要なことと考えられる.山田・竹中(2024)では,岡山平野の北端付近(岡山市北区)において,微動アレイ観測データによるS波速度(Vs)構造の推定を試み,地震基盤相当層までの深度を約300m,また表層の工学的基盤相当層までの深度を8mと推定している.この深部地盤構造については,例えば,JSHISによるモデルに比して深いものとなっており,この妥当性の検討については,今後の課題ともなっている.
本発表では,上記の探査に追加の情報を付加することを目的に,岡山平野南部の児島湾沿岸部(岡山市南区)において,同様な微動アレイ探査を実施した内容について報告する.この地域は,1900年代前半に造成された干拓地および埋立地が広がり,1946年昭和南海地震の際には被害が多かったとされている(例えば,西村(2016)).また,西村(2017)によってH/Vスペクトル比によるS波速度構造の推定がなされている.本報告での探査では,①浅部地盤構造の推定を目的とした数mから十数m規模の極小さなアレイと②深部地盤構造の推定を目的とした数百m規模のやや大きなアレイを設定した.①には,(a)強震計100 Hzサンプリング(JEP6A,上下動計)4台(2024年3月実施)と(b)速度計200 Hzサンプリング(VSE,上下動計)6台(2024年9月実施)の2種類の機材で,②は,強震計100 Hzサンプリング(SMAR6A3P,3成分計)6台(2025年3月実施)を用いて,アレイサイズに応じて十数分から1時間程度の時間長の常時微動の収録を行った.①は,(A)岡山市南区浦安南町(岡南飛行場そば)および(B)同南区片岡(灘崎公園)の2か所での実施,②は①の中間地点の同南区都六区付近で実施した.それぞれの微動データを用いて,Cho(2020)により位相速度の算出を行った.①(A)および(B)の位相速度については,2 Hz以上の帯域で100~350m/sが得られ,4 Hz付近から高周波側では約100m/sにおおむね漸近する形となった.(A)と(B)は,約7.5 km離れているが,位相速度としては,両地点ともよく似たものとなった.なお,①の(a)と(b)については,ほぼ同様な結果となり,ここでの機材や地震計数およびサンプリング周波数の差異はないものといえる.①の観測で得られた位相速度をもとに,Sambridge et al. (1999)による逆解析を行うと,4層構造とした場合は,Vs 120, 140, 220, 440m/s,各層の境界深さ10, 13, 15mとなった.2 Hz以下の位相速度が得られていないため,最下層についての精度は高くないと考えられる.また,位相速度にわずかに逆分散の可能性もあることから逆転層の存在も考えられる.②については,データの質や観測状況などのためか,位相速度は0.8~2.5 Hzで700~1400m/sの範囲でわずかに得られたに留まっている.この位相速度は,①の結果となめらかに接続できそうであるが,あらためて検討を行う必要がある.今後,位相速度の再見積もりを経て,浅部から深部の速度構造の推定を行う予定である.
微動アレイ観測には,岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の小割啓史さん:(株)阪神コンサルタンツ,自然科学研究科の渡邉禎貢さんはじめ大学院や理学部の学生さんにご協力頂きました.また,この研究の一部は,令和7年度拠点間連携共同研究およびJSPS科研費基盤(B) 23K22582の補助を受けています.関係者各位に記して,御礼申し上げます.
本発表では,上記の探査に追加の情報を付加することを目的に,岡山平野南部の児島湾沿岸部(岡山市南区)において,同様な微動アレイ探査を実施した内容について報告する.この地域は,1900年代前半に造成された干拓地および埋立地が広がり,1946年昭和南海地震の際には被害が多かったとされている(例えば,西村(2016)).また,西村(2017)によってH/Vスペクトル比によるS波速度構造の推定がなされている.本報告での探査では,①浅部地盤構造の推定を目的とした数mから十数m規模の極小さなアレイと②深部地盤構造の推定を目的とした数百m規模のやや大きなアレイを設定した.①には,(a)強震計100 Hzサンプリング(JEP6A,上下動計)4台(2024年3月実施)と(b)速度計200 Hzサンプリング(VSE,上下動計)6台(2024年9月実施)の2種類の機材で,②は,強震計100 Hzサンプリング(SMAR6A3P,3成分計)6台(2025年3月実施)を用いて,アレイサイズに応じて十数分から1時間程度の時間長の常時微動の収録を行った.①は,(A)岡山市南区浦安南町(岡南飛行場そば)および(B)同南区片岡(灘崎公園)の2か所での実施,②は①の中間地点の同南区都六区付近で実施した.それぞれの微動データを用いて,Cho(2020)により位相速度の算出を行った.①(A)および(B)の位相速度については,2 Hz以上の帯域で100~350m/sが得られ,4 Hz付近から高周波側では約100m/sにおおむね漸近する形となった.(A)と(B)は,約7.5 km離れているが,位相速度としては,両地点ともよく似たものとなった.なお,①の(a)と(b)については,ほぼ同様な結果となり,ここでの機材や地震計数およびサンプリング周波数の差異はないものといえる.①の観測で得られた位相速度をもとに,Sambridge et al. (1999)による逆解析を行うと,4層構造とした場合は,Vs 120, 140, 220, 440m/s,各層の境界深さ10, 13, 15mとなった.2 Hz以下の位相速度が得られていないため,最下層についての精度は高くないと考えられる.また,位相速度にわずかに逆分散の可能性もあることから逆転層の存在も考えられる.②については,データの質や観測状況などのためか,位相速度は0.8~2.5 Hzで700~1400m/sの範囲でわずかに得られたに留まっている.この位相速度は,①の結果となめらかに接続できそうであるが,あらためて検討を行う必要がある.今後,位相速度の再見積もりを経て,浅部から深部の速度構造の推定を行う予定である.
微動アレイ観測には,岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の小割啓史さん:(株)阪神コンサルタンツ,自然科学研究科の渡邉禎貢さんはじめ大学院や理学部の学生さんにご協力頂きました.また,この研究の一部は,令和7年度拠点間連携共同研究およびJSPS科研費基盤(B) 23K22582の補助を受けています.関係者各位に記して,御礼申し上げます.
