講演情報
[P16-04]微動観測に基づく地すべり地域-徳島県美馬市-の地盤震動特性と地盤構造
*野口 竜也1、香川 敬生1、河野 勝宣1 (1. 鳥取大学工学部社会システム土木系学科)
1.はじめに
地震による大規模な地すべり被害を事前予測するためには,地すべり地域の地盤構造を調査することは重要である.本研究では,徳島県美馬市の大規模地すべり地域で微動観測を実施し,地盤震動特性の把握と地盤構造の推定を行った.
2.観測方法
徳島県美馬市において,防災科学技術研究所(2006)による地すべり地形区分に判別された地域において,単点3成分観測を道路沿いに100~200m間隔の43点で実施した.10点で1~13mの不等間隔でL字上に配置したアレイ観測(L字アレイ観測)も実施した.地震計はJU410(白山工業)を用い,サンプリング周波数は200Hzとし,観測時間は各地点で10~15分間としている.
3.解析方法
単点3成分記録について,20.48秒間の区間を5区間以上選定し,各成分のフーリエスペクトルを求め,平均スペクトルとし,水平動2成分に対する上下動のスペクトル比(H/V)を求めた.H/Vの卓越周期,ピーク値,形状などの特徴を詳細に調べた.また,直線及びL字アレイ観測では,SPAC法(Aki,1957)もしくはCCA法(Cho et al.,2006)を用いて位相速度分散曲線を求めた.L字アレイ地点においては,得られた位相速度分散曲線とアレイ中心のH/Vを用いて,フォワードモデリングにより地盤構造を推定した.
4.微動特性と地盤構造
H/Vの特徴としては,地すべり地帯の外側では,卓越周期が0.2~0.3秒の地点が多くみられ,地すべり地域の中心部では0.3~0.5秒,地すべり地域の外側から中心にかけて徐々に長周期になる傾向があった.これは,地すべり地域の中央になるほど崖錐堆積物の層厚が厚いか軟弱であることを示している.推定された地盤構造モデルより,崖錐堆積物の層に相当するS波速度は,第1~3層が220~400m/s程度であり,その層厚は6~13mであった.
5.まとめ
徳島県美馬市の大規模地すべり地域において,微動観測により地盤震動特性の把握及び地盤構造の推定を行った.その結果,H/Vや地盤構造モデルが得られ,地すべり地域の地盤構造の変化が捉えられていることがわかった.
今後は観測の追加や面的な卓越周期や表層厚の変化を調べるなどより詳細な解析を行い,この地域の地盤震動特性や地盤構造を把握していく.また,S波速度構造と地質物性データとの対応や地すべり危険度評価への利用などについても検討していく予定である.
謝辞:本研究の結果は元鳥取大学工学部社会システム土木系学科の濱悠典氏による卒業研究でなされた観測,解析の結果を基にしている.
参考文献:防災科学技術研究所;5万分の1地すべり地形分布図(2006),Aki, K.;Bull. Earthq. Res. Inst.,(1957),Cho I., Tada T., Shinozaki Y.; Journal of Geophysical Research (2006)
地震による大規模な地すべり被害を事前予測するためには,地すべり地域の地盤構造を調査することは重要である.本研究では,徳島県美馬市の大規模地すべり地域で微動観測を実施し,地盤震動特性の把握と地盤構造の推定を行った.
2.観測方法
徳島県美馬市において,防災科学技術研究所(2006)による地すべり地形区分に判別された地域において,単点3成分観測を道路沿いに100~200m間隔の43点で実施した.10点で1~13mの不等間隔でL字上に配置したアレイ観測(L字アレイ観測)も実施した.地震計はJU410(白山工業)を用い,サンプリング周波数は200Hzとし,観測時間は各地点で10~15分間としている.
3.解析方法
単点3成分記録について,20.48秒間の区間を5区間以上選定し,各成分のフーリエスペクトルを求め,平均スペクトルとし,水平動2成分に対する上下動のスペクトル比(H/V)を求めた.H/Vの卓越周期,ピーク値,形状などの特徴を詳細に調べた.また,直線及びL字アレイ観測では,SPAC法(Aki,1957)もしくはCCA法(Cho et al.,2006)を用いて位相速度分散曲線を求めた.L字アレイ地点においては,得られた位相速度分散曲線とアレイ中心のH/Vを用いて,フォワードモデリングにより地盤構造を推定した.
4.微動特性と地盤構造
H/Vの特徴としては,地すべり地帯の外側では,卓越周期が0.2~0.3秒の地点が多くみられ,地すべり地域の中心部では0.3~0.5秒,地すべり地域の外側から中心にかけて徐々に長周期になる傾向があった.これは,地すべり地域の中央になるほど崖錐堆積物の層厚が厚いか軟弱であることを示している.推定された地盤構造モデルより,崖錐堆積物の層に相当するS波速度は,第1~3層が220~400m/s程度であり,その層厚は6~13mであった.
5.まとめ
徳島県美馬市の大規模地すべり地域において,微動観測により地盤震動特性の把握及び地盤構造の推定を行った.その結果,H/Vや地盤構造モデルが得られ,地すべり地域の地盤構造の変化が捉えられていることがわかった.
今後は観測の追加や面的な卓越周期や表層厚の変化を調べるなどより詳細な解析を行い,この地域の地盤震動特性や地盤構造を把握していく.また,S波速度構造と地質物性データとの対応や地すべり危険度評価への利用などについても検討していく予定である.
謝辞:本研究の結果は元鳥取大学工学部社会システム土木系学科の濱悠典氏による卒業研究でなされた観測,解析の結果を基にしている.
参考文献:防災科学技術研究所;5万分の1地すべり地形分布図(2006),Aki, K.;Bull. Earthq. Res. Inst.,(1957),Cho I., Tada T., Shinozaki Y.; Journal of Geophysical Research (2006)

