講演情報
[P22-01]震源クラスタリングにおける点群法線ベクトル推定手法の改良
*佐脇 泰典1,2、寒河江 皓大2、Mpuang Admore2、堀川 晴央2、佐藤 圭浩3,4、椎名 高裕2、内出 崇彦2 (1. 立命館大学理工学部、2. 産業技術総合研究所地質調査総合センター、3. 東京都市大学、4. 産業技術総合研究所人工知能研究センター)
地殻内断層は,断層破壊における地殻内の力学的・構造的な不均質性を反映していることから,複雑な断層幾何形状を把握することは地震学において基本的な課題である.本震・余震系列において,震源再決定によって精密に決定された震源分布は,複雑な面的構造を示すことが多く,活断層とその延長,またはその周辺に複雑な断層構造を有することを示す(e.g., Kato et al., 2021).面的構造を有する震源分布の空間的近接性を元にクラスタ解析することで,平面断層形状を抽出する手法が開発されてきた(e.g., Ouillon et al., 2008).我々はそこに,震源分布の局所的な幾何学的特徴を反映する点群法線ベクトル(PCNV)を加えた新たな震源クラスタリング手法を開発した(Sawaki et al., 2025).PCNVは通常,k近傍点に対して主成分分析(PCA)を適用し,最小固有値を持つ固有ベクトルとして推定される.しかし,点群密度が低い場合,KNNはより遠方の点を含めようとすることから外れ値を含みやすい傾向がある.外れ値の影響を軽減するために,Sawaki et al. (2025)では半径閾値(ε-NN)も導入したが,適切な半径εの選定は依然として困難であり,手法の汎用性を損なう可能性があった.
そこで本研究では,PCNVの推定精度と頑健性を向上させることを目的とする.まず,k近傍法(KNN)とε-NNの中間的な性質を持つ相互近傍(MNN)探索を採用した.この手法では,ある点Pと点Qが互いに相手をk近傍点とする場合にのみ,有効な近傍関係として扱う.これにより,遠方の点が含まれる可能性は低くなる.しかし,複数の面上構造を含む場合,その中間的な方向に引き寄せられてしまう場合がある.そのため,全点でPC3ベクトルを算出した後,MNN点のPC3ベクトルに対して絶対コサイン距離を距離指標として凝集型クラスタリングを実施し,得られた最大クラスタの平均ベクトルをPCNVとした.これにより,複数の分布を含む場合も,どれかに近づくことが期待される.合成データによる検証では,提案手法は従来のKNN-PCA手法と比較してPCNV推定誤差が小さくなった.実データを用いた実験を行い,震源クラスタリングの精度と汎用性の向上の検証を進めていく.
<謝辞>本研究は,文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものである.
そこで本研究では,PCNVの推定精度と頑健性を向上させることを目的とする.まず,k近傍法(KNN)とε-NNの中間的な性質を持つ相互近傍(MNN)探索を採用した.この手法では,ある点Pと点Qが互いに相手をk近傍点とする場合にのみ,有効な近傍関係として扱う.これにより,遠方の点が含まれる可能性は低くなる.しかし,複数の面上構造を含む場合,その中間的な方向に引き寄せられてしまう場合がある.そのため,全点でPC3ベクトルを算出した後,MNN点のPC3ベクトルに対して絶対コサイン距離を距離指標として凝集型クラスタリングを実施し,得られた最大クラスタの平均ベクトルをPCNVとした.これにより,複数の分布を含む場合も,どれかに近づくことが期待される.合成データによる検証では,提案手法は従来のKNN-PCA手法と比較してPCNV推定誤差が小さくなった.実データを用いた実験を行い,震源クラスタリングの精度と汎用性の向上の検証を進めていく.
<謝辞>本研究は,文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものである.
