講演情報
[P22-03]物体検出アルゴリズムYOLOを利用したT相の自動検出
*河上 洋輝1、須田 直樹1 (1. 広島大学)
T相は、地震や海底火山の噴火で発生した地震波が海中音波としてSOFARチャネルと呼ばれる低速度層を伝搬し、沿岸の海底で再び地震波に変換されたものである。そのためT相は、海底地震計だけでなく陸上に設置された地震計でもしばしば観測される。T相は通常の地震解析では利用されないが、P波やS波の識別が困難な場合には、震源の推定や津波注意報の早期発令において重要な観測手段となる。しかし、T相を即時検出するシステムは未だに開発されていない。河上・須田 (JPGU 2025)では、ResNet-18を転移学習させた深層学習モデルにより、Hi-netの連続波形データから非常に高精度なT相の検出が可能になった。しかし、2023年10月に伊豆諸島の孀婦(そうふ)海山付近で発生した地震のように、短時間で連続的に発生したT相の区別ができないという課題があった。本研究では、物体検出アルゴリズムの一つであるYOLOを用いて、T相検出における時間分解能の向上を試みた。その結果、河上・須田 (JPGU 2025)では区別できなかったT相が連続的に観測された場合でも、区別して検出することが可能になった。
本研究ではHi-net観測点のうち日本列島の太平洋沿岸に設置された250か所を選択し、上下動成分の連続波形記録を解析に使用した。また、深層学習の教師データを作成するために、GCMTカタログに掲載されている2006年から2023年に発生したMw7以上の地震について、選択したHi-net観測点でT相が観測された44イベントを抽出した。 深層学習ではスペクトログラム画像を学習させた。T相を観測した44個のイベントについて、各観測点においてT相を観測した時間を含む10分間長のスペクトログラム画像を作成し、画素サイズを256px×256pxにリサイズした。スペクトログラムは、周波数0.5Hzから20Hzの範囲において、サンプリング周波数100Hzで、窓長5秒を50%のオーバーラップで作成した。作成したT相を含むスペクトログラム画像について、物体検出のアノテーションツールであるlabelImgを用いてラベル付けを行った。2013年から2023年に発生したイベントから教師画像を学習用に3183枚、検証用に1060枚作成し、2006年から2012年に発生したイベントから未知データへのテスト用画像を1625枚作成した。また、2023年10月に観測された連続的なT相についても同様にスペクトログラム画像を作成し、河上・須田 (JPGU 2025)の結果と比較した。本研究では、物体検出アルゴリズムの一つであるYOLOv5モデルのうち軽量で高速なYOLOv5sを使用し、作成した「T相」のラベル付きスペクトログラム画像を学習させた。
モデルを学習させた結果、検証データに対して適合率が98.6%、再現率が98.2%と非常に高い精度で検出できていることが明らかになった。また、未知データに対しては、適合率が98.3%、再現率が94.6%だった。さらに、河上・須田 (JPGU 2025)では区別できなかった2023年10月に観測された連続的なT相についても、本手法では区別して検出可能であることが明らかになった。発表では、T相の検出結果をもとにT相の発生イベントの検出及び発生源推定に関しても議論する予定である。
謝辞:本研究は、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2132の支援を受けています。また、学習データの作成にHi-netの記録とGCMTカタログを利用し、アノテーションにはlabelImgを用いました。T相の検出には物体検出アルゴリズムYOLOv5を利用しました。関係各位に感謝します。
本研究ではHi-net観測点のうち日本列島の太平洋沿岸に設置された250か所を選択し、上下動成分の連続波形記録を解析に使用した。また、深層学習の教師データを作成するために、GCMTカタログに掲載されている2006年から2023年に発生したMw7以上の地震について、選択したHi-net観測点でT相が観測された44イベントを抽出した。 深層学習ではスペクトログラム画像を学習させた。T相を観測した44個のイベントについて、各観測点においてT相を観測した時間を含む10分間長のスペクトログラム画像を作成し、画素サイズを256px×256pxにリサイズした。スペクトログラムは、周波数0.5Hzから20Hzの範囲において、サンプリング周波数100Hzで、窓長5秒を50%のオーバーラップで作成した。作成したT相を含むスペクトログラム画像について、物体検出のアノテーションツールであるlabelImgを用いてラベル付けを行った。2013年から2023年に発生したイベントから教師画像を学習用に3183枚、検証用に1060枚作成し、2006年から2012年に発生したイベントから未知データへのテスト用画像を1625枚作成した。また、2023年10月に観測された連続的なT相についても同様にスペクトログラム画像を作成し、河上・須田 (JPGU 2025)の結果と比較した。本研究では、物体検出アルゴリズムの一つであるYOLOv5モデルのうち軽量で高速なYOLOv5sを使用し、作成した「T相」のラベル付きスペクトログラム画像を学習させた。
モデルを学習させた結果、検証データに対して適合率が98.6%、再現率が98.2%と非常に高い精度で検出できていることが明らかになった。また、未知データに対しては、適合率が98.3%、再現率が94.6%だった。さらに、河上・須田 (JPGU 2025)では区別できなかった2023年10月に観測された連続的なT相についても、本手法では区別して検出可能であることが明らかになった。発表では、T相の検出結果をもとにT相の発生イベントの検出及び発生源推定に関しても議論する予定である。
謝辞:本研究は、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2132の支援を受けています。また、学習データの作成にHi-netの記録とGCMTカタログを利用し、アノテーションにはlabelImgを用いました。T相の検出には物体検出アルゴリズムYOLOv5を利用しました。関係各位に感謝します。
