講演情報
[P22-10]日本でのリアルタイム余震予測におけるGR則のb値の推定手法の比較
*上田 拓1、久保 久彦1、汐見 勝彦1 (1. 国立研究開発法人 防災科学技術研究所)
大地震発生直後は通常と比べて地震が発生しやすい状態にあり、短時間でその後の地震発生予測やそれらの地震に伴った地震動予測を行うことは防災上重要である。防災科学技術研究所では日本で発生した大地震に対するリアルタイム余震予測システムの試験稼働を行っている(Omi et al., 2019)。このシステムではHi-net自動震源カタログを用いており、地震活動モデルとして大森・宇津則、グーテンベルグ・リヒター(GR)則を仮定し、検出率の時間変化を考慮することで、大地震発生直後の地震カタログの不完全性に対応した余震発生確率を推定している(Omi et al., 2013; 2016)。
GR則のb値は、余震発生確率に大きな影響を与える重要なパラメータの1つである。特に本震と同規模の地震発生確率はb値のわずかな違いで10倍以上に変化し得る。本研究では、連続して発生する地震のマグニチュードの差の正の部分(後に発生した地震のマグニチュードの方が大きい)の頻度分布を用いたb-positive法(van der Elst, 2021)でb値を推定し、既存の予測システムによって推定された結果と比較した。対象は予測システムの試験運用を開始した2017年4月以降に日本で発生したM5以上の地震の余震系列のうちシステムが稼働したもの、また2016年熊本地震の最大前震と本震後の余震系列である。さらに、気象庁一元化処理震源カタログも用いることで、b値推定におけるカタログ依存性の議論を行った。
b-positive法によって推定されたb値は使用するマグニチュード差の最小値(dMc)に大きく依存した。特にHi-net自動震源カタログを用いた場合、dMc=0.1のb値はdMc=0.3のb値より小さい傾向にあり、大地震発生直後においてマグニチュード差が小さいイベントペアが検出されづらいことが原因として考えられる。また、マグニチュードの差の分布の計算に使用するイベントの最小マグニチュード(Mc)もb値の推定に影響した。微小地震のマグニチュードの推定精度が影響している可能性がある。
Hi-net自動震源カタログと気象庁一元化処理震源カタログの両方においてb-positive法で推定したb値は既存システムで推定した結果と調和的な傾向にあった。しかし、2016年熊本地震本震のように推定値に大きな差が出るケースも存在した。
今後は既存の予測システムとb-positive法の特徴を詳細に理解するため、大森・宇津則、GR則、検出率の時間変化を考慮した合成カタログを作成して検証を進めていく予定である。
謝辞
気象庁一元化処理震源カタログを使用しました。また本研究は文部科学省受託研究「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」(STAR-Eプロジェクト、JP010217)の助成を受けて行われたものです。記して感謝いたします。
GR則のb値は、余震発生確率に大きな影響を与える重要なパラメータの1つである。特に本震と同規模の地震発生確率はb値のわずかな違いで10倍以上に変化し得る。本研究では、連続して発生する地震のマグニチュードの差の正の部分(後に発生した地震のマグニチュードの方が大きい)の頻度分布を用いたb-positive法(van der Elst, 2021)でb値を推定し、既存の予測システムによって推定された結果と比較した。対象は予測システムの試験運用を開始した2017年4月以降に日本で発生したM5以上の地震の余震系列のうちシステムが稼働したもの、また2016年熊本地震の最大前震と本震後の余震系列である。さらに、気象庁一元化処理震源カタログも用いることで、b値推定におけるカタログ依存性の議論を行った。
b-positive法によって推定されたb値は使用するマグニチュード差の最小値(dMc)に大きく依存した。特にHi-net自動震源カタログを用いた場合、dMc=0.1のb値はdMc=0.3のb値より小さい傾向にあり、大地震発生直後においてマグニチュード差が小さいイベントペアが検出されづらいことが原因として考えられる。また、マグニチュードの差の分布の計算に使用するイベントの最小マグニチュード(Mc)もb値の推定に影響した。微小地震のマグニチュードの推定精度が影響している可能性がある。
Hi-net自動震源カタログと気象庁一元化処理震源カタログの両方においてb-positive法で推定したb値は既存システムで推定した結果と調和的な傾向にあった。しかし、2016年熊本地震本震のように推定値に大きな差が出るケースも存在した。
今後は既存の予測システムとb-positive法の特徴を詳細に理解するため、大森・宇津則、GR則、検出率の時間変化を考慮した合成カタログを作成して検証を進めていく予定である。
謝辞
気象庁一元化処理震源カタログを使用しました。また本研究は文部科学省受託研究「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」(STAR-Eプロジェクト、JP010217)の助成を受けて行われたものです。記して感謝いたします。
