講演情報
[P23-07]流体の貫入と拡散を示唆する背景地震活動度の時間変化と震源移動:奈良県とその周辺における群発地震活動
*弘瀬 冬樹1、中村 雅基1 (1. 気象研究所 地震津波研究部)
2001年5月末より奈良県南西端の和歌山県との境界付近で,次いで2002年7月末より奈良県中央部において群発地震活動が開始した.前者は発生から約10年間継続し,後者は20年以上経過した現在でも継続中である.非定常ETASモデルから,群発地震活動の初期とその後のある期間に背景地震強度の増加がみられ,流体の貫入が示唆された.波形相関に基づいた震源再決定カタログから,これらの群発地震活動には拡散的なゆっくりとした震源移動が認められた.推定した拡散係数や浸透率は,これまで報告されている群発地震活動の中では小さめであり,群発地震活動の長寿命化が予想される.震源分布及び先行研究(地震探査,地震波トモグラフィ解析,希ガス・主要元素組織解析)から,本解析領域にはスラブから脱水した流体がマントルウェッジを経由し,北~北西傾斜の弱面に沿って上昇していると考えられる.現時点(2025年)では,背景地震強度は低いため,流体の関与による大地震の逼迫は考えづらいが,スラブ起源の流体が群発地震活動に関与していることから,将来も定期的に流体の貫入による群発地震活動の発生が予想される.
