講演情報
[P23-08]2025年7月に箱根火山芦ノ湖南部付近で発生した群発地震活動-過去の群発地震活動との比較-
*栗原 亮1、本多 亮1、小林 宰1、安部 祐希1、長縄 和洋1 (1. 神奈川県温泉地学研究所)
箱根火山では群発地震が時々観測されている。群発地震は火山活動が活発化する際にも観測され、2015年6月の水蒸気噴火の際には4月ごろから継続した群発地震が観測された。また、2019年や2023年にも群発地震が観測され、それに対応して地殻変動や火山ガス組成の変化などの火山活発化が見られている。箱根火山を挟んで南には北伊豆断層帯が、北には平山-松田北断層帯が位置しており、箱根カルデラの南北には活断層が通っているとも考えられている。箱根火山では、その火山活動規模の割に群発地震の発生が多くなっており、群発地震の震源はカルデラ内の中央火口丘だけでなく、西側の芦ノ湖周辺やカルデラの南北の端にも分布している。2025年7月20日以降箱根カルデラ内の南側、芦ノ湖の南部の元箱根周辺で群発地震活動が発生した。この活動は7月20日に微小な地震の増加という形で開始し、7月21日4時29分にM2.9の地震が発生し、その後1日程度群発地震が継続した。この間の地震数は神奈川県温泉地学研究所のまとめで66個となっている。また2日後の7月23日21時49分にはM3.6の地震が発生し、その後半日程度にわたって集中的な群発地震が観測された。この群発地震の地震数は115個である。その後地震数は翌日から急激に減少し、3日後の26日にややまとまった地震があったものの、その後は1日1個程度の地震数となっている。本発表では、この群発地震の活動についてより詳細にまとめる。今回の芦ノ湖の南岸の元箱根周辺では過去にも何度か群発地震が観測されている。規模の大きい地震では、今回の群発地震よりやや南を震源として発生した1994年10月22日のM3.6と10月25日のM4.8の地震が発生し、今回と同様に1週間程度の群発地震活動が見られた。2015年の火山活動に対応した群発地震の際には、まず全山的な群発地震に対応して2015年5月4日から5日ごろに本地域でも地震が発生している。この時は中央火口丘から北を中心に群発地震が発生していたが、この2日間だけ芦ノ湖地域へ群発地震が拡大している。また、2015年7月19日ごろと2019年7月17日ごろにも群発地震が発生しているが、これはいずれも火山活動の活発化が見られた時期の末期に当たり、他地域では活動が収束しつつある時期に孤立的に発生している。このように当地域の群発地震は2015年5月4日ごろのイベントを除くと、箱根火山全体の活動とは少し時期が異なる傾向が見られることがわかった。
