講演情報
[P23-13]遠地波形データを用いた Mw7–9地震の震源時間関数の系統的解析:地震成長過程における連鎖破壊の重要性
*吉田 圭佑1、平野 史朗2 (1. 東北大学大学院 理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター、2. 弘前大学 理工学研究科)
2024年1月1日のMw7.5能登半島地震は、数年にわたり活発な群発地震活動が続いていた震源域から開始した。この地震は、直前にM3程度の地震とM5.9の地震が発生し、その後も異なる活断層で大すべりを伴いながら連鎖的に破壊が進行したと考えられる。能登半島地震のような大規模地震がどのようなプロセスで成長していくのかを系統的に把握することは、群発地震発生域における大地震発生過程の理解を進展させる上で重要である。本研究では、国内外で発生したMw7以上の地震の開始過程に共通する特徴と多様性を明らかにするために、それらの破壊パターンを整理・比較した。
解析対象は、日本列島周辺で発生したMw6.5〜9.0の地震と、比較のために海外で発生したMw7.5以上の地震を含む計64個である。まず、W-phase CMTインバージョン(Duputel et al., 2012)によりモーメントテンソル解を求め、その解に基づいてIRISデータベース(van Driel et al., 2015)のグリーン関数を用いて合成波形を計算した。構造モデルにはPREM(Dziewonski & Anderson, 1981)を用いた。観測された遠地地震波形(IRISウェブサイトから取得したFDSNグローバルネットワークのデータ)とこれらの合成波形を比較し、Kikuchi & Kanamori (1982) の方法に従って非負拘束条件下でデコンボリューションを行い、各地震のモーメントレート関数(moment rate function; MRF)を推定した。解析は0.15 Hz以下の周波数帯域を対象とした。得られたMRFからは、破壊継続時間、主要破壊のonset遅れ、セントロイド・タイムなどのパラメータを抽出した。
解析の結果、モーメントと継続時間の関係は概ね自己相似則と整合的であったが、破壊継続時間や主破壊までの遅れ時間、全体的な破壊の指向性には同規模地震間で大きな多様性が認められた。例えば、2025年カムチャツカ地震や2024年能登半島地震のMRFには時間遅れを伴う4〜5個の異なるサブイベントが確認され、複数の地震パッチにおける連鎖的破壊の発生を示唆する。一方、2011年東北地方太平洋沖地震などの震源時間関数は主として1〜2個のパルスで構成されており、広域で連続的なすべりが卓越した可能性を示唆する。系統的比較の結果、破壊開始から時間遅れを伴って主破壊が生じる事例は少なくなく、Mwが大きい地震ほど主破壊のonset遅れが長くなる傾向が認められた。この傾向はEllsworth & Beroza (1995)の報告と類似し、Ide & Aochi (2005)の階層的地震パッチモデルによるMw2〜6.4地震のシミュレーションでも再現されている。以上の結果は、大地震発生過程においてカスケード的破壊が重要な役割を果たすことを示唆する。
解析対象は、日本列島周辺で発生したMw6.5〜9.0の地震と、比較のために海外で発生したMw7.5以上の地震を含む計64個である。まず、W-phase CMTインバージョン(Duputel et al., 2012)によりモーメントテンソル解を求め、その解に基づいてIRISデータベース(van Driel et al., 2015)のグリーン関数を用いて合成波形を計算した。構造モデルにはPREM(Dziewonski & Anderson, 1981)を用いた。観測された遠地地震波形(IRISウェブサイトから取得したFDSNグローバルネットワークのデータ)とこれらの合成波形を比較し、Kikuchi & Kanamori (1982) の方法に従って非負拘束条件下でデコンボリューションを行い、各地震のモーメントレート関数(moment rate function; MRF)を推定した。解析は0.15 Hz以下の周波数帯域を対象とした。得られたMRFからは、破壊継続時間、主要破壊のonset遅れ、セントロイド・タイムなどのパラメータを抽出した。
解析の結果、モーメントと継続時間の関係は概ね自己相似則と整合的であったが、破壊継続時間や主破壊までの遅れ時間、全体的な破壊の指向性には同規模地震間で大きな多様性が認められた。例えば、2025年カムチャツカ地震や2024年能登半島地震のMRFには時間遅れを伴う4〜5個の異なるサブイベントが確認され、複数の地震パッチにおける連鎖的破壊の発生を示唆する。一方、2011年東北地方太平洋沖地震などの震源時間関数は主として1〜2個のパルスで構成されており、広域で連続的なすべりが卓越した可能性を示唆する。系統的比較の結果、破壊開始から時間遅れを伴って主破壊が生じる事例は少なくなく、Mwが大きい地震ほど主破壊のonset遅れが長くなる傾向が認められた。この傾向はEllsworth & Beroza (1995)の報告と類似し、Ide & Aochi (2005)の階層的地震パッチモデルによるMw2〜6.4地震のシミュレーションでも再現されている。以上の結果は、大地震発生過程においてカスケード的破壊が重要な役割を果たすことを示唆する。
