講演情報

[S06-09]日向灘南部のM7クラスの繰り返し地震発生域の地震活動と地震波速度構造

*平田 一聖1、山下 裕亮2、松島 健1、仲谷 幸浩3、平野 舟一郎3、八木原 寛3、中東 和夫4、江本 賢太郎1、松本 聡1、馬場 慧1、大柳 修慧5、伊藤 喜宏5、山本 揚二朗6、胡 靚妤7、山田 知朗7、篠原 雅尚7 (1. 九州大学、2. 宮崎公立大学、3. 鹿児島大学、4. 東京海洋大学、5. 京都大学、6. 海洋研究開発機構、7. 東京大学)
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日向灘は九州・パラオ海嶺がユーラシアプレートの下に沈み込んでいる領域であり,地震活動が活発である.日向灘南部 (宮崎市・日南市の沖合) のプレート境界では,約30年に一度の頻度でM7クラスの地震が発生しており,2024年8月8日にはM7.1の地震が発生した.この地震の地震時すべりおよび余効すべりは,複数の研究で推定されている (Itoh, 2025; Kubota et al., 2025; Shibata et al., 2025; Ozawa et al., 2025).地震時すべりの主すべり域は,いずれの研究でも沈み込む海山のdown-dip側に推定されているが,余効すべり域については推定結果が異なる (Itoh, 2025; Ozawa et al., 2025).余効すべりによる応力載荷が余震活動を促進する可能性があるため (e.g., Kato & Obara, 2014),2024年M7.1日向灘地震の余震活動の特徴を明らかにすることは重要である.
平田・他 (2025, JpGU) は,海底地震観測期間 (2011-2013年および2021年) の検測値を用い,2024年M7.1日向灘地震の余震の震源をdouble-difference法 (Zhang and Thurber, 2003) で再決定し,その地震活動の特徴を報告した.その結果,浅部の余震の大部分がプレート境界で発生していること,南側の地震クラスターがdown-dip方向にマイグレーションしていたことが明らかとなった.また,地震時すべり域周辺で発生した余震は大陸地殻内で発生していたように見えるが,震源決定に用いた速度構造モデルの影響が含まれる可能性も考えられる.具体的には,海域にNakanishi et al. (2018),陸域にJMA2001 (Ueno et al., 2002) の速度構造を適用して作成したP波の3次元速度構造の接合部 (地震時すべり域周辺) が実際の速度構造を反映しているか不明である.また,S波速度については全領域でVp/Vs=1.73を仮定しており,特に海域においては不適切な可能性がある.
この地域の地震活動を精度良く把握するには,より現実的な速度構造を知る必要がある.そこで本研究では,過去約10年間にわたり日向灘で取得された海底地震観測データと鹿児島県・宮崎県沿岸の陸上地震観測点データを統合し,tomoDD-SE (Zhang and Thurber, 2003; 2006) を用いて日向灘南部を対象にP波およびS波の3次元速度構造推定を行った.得られる速度構造の空間分解能を評価するため,チェッカーボード解像度テストを実施した結果,M7クラスの繰り返し地震発生域では水平方向に約20 km,深さ方向に約10 km の空間分解能があることを確認した.今後は,日向灘における先行研究であるYamamoto et al., 2013 で使用された走時データも統合し,さらなる解像度向上を図る.本発表では,新たに推定した地震波速度構造と通常地震の震源分布に基づき,2024年M7.1日向灘地震の地震時すべり域や沈み込んだ海山との関係,および余効すべり分布と地震活動の時間発展等について議論を行う.

謝辞:本研究は文部科学省委託研究「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」および文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次および第3次)」 の一環として実施されました.海底地震計の設置 回収は長崎大学水産学部附属練習船「長崎丸」および海洋エンジニアリング株式会社所属「第三開洋丸」によって行われました.両船の船員の皆様ならびに乗船された京都大学,九州大学,鹿児島大学,東京海洋大学,東京大学の皆様に感謝の意を表します.