講演情報

[S09-12]低周波地震の群発的挙動とその深さ依存性

*下村 海渡1、麻生 尚文1 (1. 東京理科大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード
深部低周波地震は発生場所や波形の特徴から火山型とテクトニック型に大別される。両タイプの低周波地震は、主に深さ約 30km のモホ面付近で発生し、火山の周辺または沈み込み帯で発生する。火山型は地殻の進化に関連していると考えられ、一方でテクトニック型は巨大地震との関連が指摘されており、どちらも重要な現象である。また、火山型は短い時間間隔で繰り返し発生し、群発地震となることが多い。その一方、テクトニック型は継続的に発生し、その深さによって周期性が異なる。このように、群発性や連発性は両タイプの低周波地震において重要な特徴である。これまでの研究では、低周波地震の特徴や物理的メカニズムに関する解析が進められてきたものの、群発性に着目した系統的な解析は行われてこなかった。そこで本研究では、低周波地震の群発性を体系的かつ定量的に解析する。

そのために、地震活動を定量的にモデル化する際の標準的手法であるETAS (Epidemic-type aftershock sequence)モデル[Ogata, 1988]を用いる。特に、修正ETASモデル[Aso, 2023]では、群発的な拡散性に関連する地震の時間的な群発性を捉えることができる。この修正ETASモデルを用いて、気象庁カタログに含まれる2018年から2023年にかけての四国の低周波地震を中心に解析を行う。特に、テクトニック型低周波地震の深さ方向の特徴やETAS パラメータの空間依存性に注目する。

また、本研究ではETAS推定を用いて空間的特徴を調べる際の新たな手法を考案した。従来の時間的ETASモデルでは、あらかじめ定義された範囲内の地震のみが考慮されて、範囲外の地震の影響は無視されてきた。このことは、テクトニック型のように震源に分布がある地震活動を考慮する際に問題となる。本研究ではこの課題に対応するため、半径20 km以内の地震によって10 km以内の地震が誘発されると仮定して、周辺の地震活動の影響も考慮しつつ空間的なパターンに注目できる手法を採用した。また、両半径の比率や大きさを変化させることで、よりロバストな特徴を得ることを目指す。

以上の手法を四国の低周波地震に適応すると、震源が深くなるにつれて、地震活動における背景地震活動の比率が高まる傾向が得られた。これは、Idehara et al.(2014)において、沈み込み帯の方向に沿って次第に微動が連続的になっていくことと整合的である。これらの結果から、深部が浅部に比べて高圧力・高温度であり、より流体的な振る舞いを示すことが示唆される。