講演情報
[S15-07]ノイズ識別としきい値超過を同時予測する機械学習モデルに基づく新しい早期地震警報アルゴリズム
*野田 俊太1 (1. 鉄道総合技術研究所)
早期地震警報システムのアルゴリズムでは、地震計のデータからノイズを識別し、地震動の場合にP波開始時刻決定、地震諸元の推定、地震動予測式などを使用した地震動指標値の予測、必要に応じたマグニチュードなどの地震諸元情報の更新など、複数の処理が連続して行われる。この従来処理フローでは、複数の処理を組み合わせなければ警報判定ができず、地震発生時には処理負荷が急激に増大する問題がある。特に、この従来処理フローの各処理を個別に機械学習モデルへ置き換える場合、機械学習は既存技術と比べて一般的に演算負荷が高いため、地震時の処理遅延を防ぐための慎重な検討が求められる。そこで、単一の機械学習モデルにてノイズ識別から地震動のしきい値超過の予測までを行い、警報判定までに必要な処理を完結させるアルゴリズムを用いることを提案する。このモデルは、従来処理フローにおけるノイズ識別モデルを拡張させる形によって開発する。すなわち、従来のノイズ識別モデルは、観測されたデータが地震動なのか、あるいはそれ以外のノイズなのかという点を分類するものとして学習されていたが、提案モデルでは、観測データが地震動のしきい値を超過するか否かという点を分類するように学習させる。これにより、単一の機械学習モデルによって、ノイズを識別しながらしきい値超過の有無を同時に予測することが可能となる。したがって、このモデルによるアルゴリズムは、地震の発生有無にかかわらず単一のモデルによる処理を繰り返すことで必要な処理が全て完結するため、上述したような地震時の処理遅延が発生するリスクを回避することができる。野田・他(地球惑星科学連合2025年大会)では、本提案モデルの開発を一つの地震動しきい値(鉄道警報用最大加速度JR-PGA=40gal)によって行っていた。本研究では、早期地震警報システムへの実装を念頭に、限られたデータで学習モデルを構築せざるを得ない状況を踏まえ、提案モデルが複数のしきい値条件下においても十分な性能を維持できるかどうかに着目した。その検討結果を報告する。
