講演情報
[S17-03]Segment Anything Model 2を用いた2024年能登半島地震津波のカメラ映像からの津波時系列データ自動抽出
*南 雅晃1、対馬 弘晃1、林 豊1 (1. 気象庁気象研究所)
沖合観測網の少ない海域の津波波源の推定や,沿岸付近の複雑な津波伝播特性の解明を行うためには,沿岸での津波時系列データが重要であるが,津波時系列データは検潮所等での限られたデータしか得られていない.そこで近年ではそれらを補完して観測の空間密度をあげるための取り組みの一つとして,カメラ映像から津波高の時系列データを取り出すための研究が行われている.カメラ映像からの津波時系列データの抽出では,エッジ検出を用いた自動読み取り(Shirai et al. 2024など),人間による読み取り(南・ほか 2024など)が行われてきた一方,深層学習を用いた方法での津波時系列データの抽出は使われてこなかった.これは津波の映像データが極端に少なく,学習に用いるデータが少ないなどの問題があったためと考えられる.そこで本稿では津波の映像を学習データとするのではなく、巨大なデータセットによる事前学習を経て構築されている汎用セグメンテーション基盤モデルであるMeta社のSegment Anything Model 2 (SAM 2) に着目し,その津波時系列データ自動抽出への適用可能性について調査を行った.2024年能登半島地震による津波を捉えた映像にSAM2を適用し,得られたセグメンテーション結果から津波時系列データを自動抽出した.加えて,エッジ検出と人間による読み取りそれぞれから得られた津波時系列データと比較し,その性能を評価した.その結果,SAM 2は人間による読み取りと同程度の読み取り精度・決定率であった.また,エッジ検出に比べて,読み取り精度および読み取り決定率が優れ,読み取り速度はほぼ同じであった.さらに,エッジ検出では試行錯誤的な事前のパラメータ設定が必要であるが,SAM 2ではそれが不要である.これらの結果から,カメラ映像からの津波高自動抽出は,今回用いたSAM 2のような深層学習を用いた方法による読み取りが今後主流になっていくことを確信させる.
