講演情報
[S22-01]変分オートエンコーダによる共通S波成分の抽出
*平中 幸雄1 (1. 平中技術研究所)
発生や伝搬に共通性のある物理信号は、成分分解すると共通の成分信号に分離できることがよくある。ある実験装置で得られた多数のアコースティックエミッション(AE)波形(ORION-AE データセットとして公開されている)をVAEで潜在変数に情報圧縮したところ、おおよそ2次元のドーナッツ状の潜在変数分布が得られた。各潜在変数が表す時間波形を調べると、90度位相のずれた2つのパルス性周期信号となっていた。AEよりも複雑と想定される地震動波形でも、同様の結果が得られるかどうか、地震波形記録に適用したので、その結果を報告する。
処理の概略を図に示す。処理対象はSTEADデータセットとし、学習サンプル数を考慮しながら、観測ステーション(CROK)、振動方向(N-S)、震源距離(10-40km)、マグニチュード(2-6)を選んだ。得られた地震動生データ(100Hzサンプリング)に対して、包絡線を (np.envelopeで帯域幅を1/6に制限して)作成し、包絡線最大値の前50点、最大値を含む後続150点の合計200点の時間波形を学習入力変数とした。
振幅の小さい信号は包絡線ピークが明確でない傾向があるので、最大包絡線値が小さい信号(200,000以下)は学習データから除外し、合計学習サンプル数は138個となった。尚、包絡線最大となるのは、ほとんどはS波と想定している。もし、S波でなかったとしても、少数もしくは他との共通性の少ない波形であれば、VAEの主要成分学習過程で、ノイズと同様に潜在変数軸に残らないことになる。
VAEは線形で、200点入力層、収束性向上のための16ユニットの中間層、2組の潜在変数層を含む3層で構成した。損失関数は、入力変数値と再構成値の二乗誤差を最小化すると同時に、潜在変数値分布を標準正規分布に近くなることを目標に学習を行う。後者の目標は、抽出する潜在変数が対等の重みを持つようにすることで、直交しない潜在変数組も求められる効果がある。損失関数変化を見て、学習回数は1000とした。
学習サンプルに対して得られた潜在変数分布を見ると、原点近くに小信号(緑)、その周りに中信号(赤)、周囲に大信号(青)となり、主に大信号の特性が潜在変数を決めていることが分かる。潜在変数値(1,0)と(0,1)に対するVAEデコーダ出力(基底関数に相当)は、包絡線ピーク時刻に関して、サイン波とコサイン波の短いパルス波になっている。
実測データ全体(6000点)と得られたVAE基底関数との相互相関を求めると、2つの時間波形が得られ、それぞれ基底関数のサイン波成分とコサイン波成分に対応している。これらの値から包絡線最大時点での地震波共通成分の位相角が分かり、両出力の二乗和平方根は信号強度の時間変化となる(図の最下段)。サイン波成分とコサイン波成分が完全には直交していないなどのため櫛状に変化しているが、その波形は、帯域制限付で算出した包絡線よりも、S波の到着中心時間を精度よく求めることが期待される。以上の通り、地震波についても、おおよそ90度位相のずれた2信号として、共通成分の抽出が可能で、有用と考えられる。
処理の概略を図に示す。処理対象はSTEADデータセットとし、学習サンプル数を考慮しながら、観測ステーション(CROK)、振動方向(N-S)、震源距離(10-40km)、マグニチュード(2-6)を選んだ。得られた地震動生データ(100Hzサンプリング)に対して、包絡線を (np.envelopeで帯域幅を1/6に制限して)作成し、包絡線最大値の前50点、最大値を含む後続150点の合計200点の時間波形を学習入力変数とした。
振幅の小さい信号は包絡線ピークが明確でない傾向があるので、最大包絡線値が小さい信号(200,000以下)は学習データから除外し、合計学習サンプル数は138個となった。尚、包絡線最大となるのは、ほとんどはS波と想定している。もし、S波でなかったとしても、少数もしくは他との共通性の少ない波形であれば、VAEの主要成分学習過程で、ノイズと同様に潜在変数軸に残らないことになる。
VAEは線形で、200点入力層、収束性向上のための16ユニットの中間層、2組の潜在変数層を含む3層で構成した。損失関数は、入力変数値と再構成値の二乗誤差を最小化すると同時に、潜在変数値分布を標準正規分布に近くなることを目標に学習を行う。後者の目標は、抽出する潜在変数が対等の重みを持つようにすることで、直交しない潜在変数組も求められる効果がある。損失関数変化を見て、学習回数は1000とした。
学習サンプルに対して得られた潜在変数分布を見ると、原点近くに小信号(緑)、その周りに中信号(赤)、周囲に大信号(青)となり、主に大信号の特性が潜在変数を決めていることが分かる。潜在変数値(1,0)と(0,1)に対するVAEデコーダ出力(基底関数に相当)は、包絡線ピーク時刻に関して、サイン波とコサイン波の短いパルス波になっている。
実測データ全体(6000点)と得られたVAE基底関数との相互相関を求めると、2つの時間波形が得られ、それぞれ基底関数のサイン波成分とコサイン波成分に対応している。これらの値から包絡線最大時点での地震波共通成分の位相角が分かり、両出力の二乗和平方根は信号強度の時間変化となる(図の最下段)。サイン波成分とコサイン波成分が完全には直交していないなどのため櫛状に変化しているが、その波形は、帯域制限付で算出した包絡線よりも、S波の到着中心時間を精度よく求めることが期待される。以上の通り、地震波についても、おおよそ90度位相のずれた2信号として、共通成分の抽出が可能で、有用と考えられる。

