講演情報
[S22-06]地震カタログおよび地震動データを用いた余震地震動ハザード予測手法の比較
*久保 久彦1、澤崎 郁1、宮本 崇2、 汐見 勝彦1、上田 拓1、山谷 里奈3 (1. 防災科学技術研究所、2. 東京科学大学、3. 東京大学地震研究所)
大地震発生後の初動段階(地震発生から数時間~数日)は避難や救助、復旧などの防災行動が取られる重要なフェーズであり、それらの行動計画を適切に策定するためには、信頼性の高い余震地震動ハザード情報の作成および提供が求められる。この情報作成にあたっては、地震カタログに基づくアプローチ(例えば、Kubo & Shiomi 2025)と地震動データに基づくアプローチ(例えば、Sawazaki 2021, 2025)の両面から開発が現在進められている。前者は面的な予測が可能であるが、余震の空間分布の仮定が予測結果に大きく影響する。後者は地震動データを観測した地点での予測に限定されるが、その地点での実記録を直接的に予測に活用することができるという強みがある。このように各アプローチは異なる利点と限界を有しているため、将来的には相補的に組み合わせた予測手法の構築が望まれる。そこで本研究では、地震カタログに基づくアプローチであるKubo & Shiomi(2025)と地震動データに基づくアプローチであるSawazaki(2021, 2025)を同一イベントに適用し、その比較を行った。
Kubo & Shiomi(2025)は、大地震直後の地震カタログの不完全性を考慮した地震活動予測手法(Omi et al. 2013, 2016)と緊急地震速報に採用されている地震動予測手法、確率論的な地震動ハザード評価手法を統合し、防災科学技術研究所Hi-netの自動震源カタログに適用することで、余震地震動ハザードを面的に予測するスキームである。Sawazaki (2021, 2025)は、Hi-net連続地震動記録の区間最大振幅データに極値統計解析を施すことで、観測地点における余震地震動ハザードを予測するスキームである。なおHi-netは地中での観測記録であるため、過去記録に基づいて求めたKiK-net地表地震動記録と地中地震動記録間のオフセットの平均値を用いて、Hi-net地表相当の揺れに換算する。ここでは2016年熊本地震本震(M 7.3)発生から6時間後・12時間後・18時間後までのデータを用いて、それぞれの経過時間から1日後までに任意の値以上の計測震度が観測される確率(超過確率)の予測を行い、Hi-net観測点における地表相当の余震ハザードを比較した。
その結果、各手法で求められたHi-net観測点ごとの余震ハザードには正の相関が確認された。一方で地震カタログに基づく予測の方が全体的により小さい値を示す傾向が見られた。また予測開始時間による違いも若干見られたが、全体的な傾向はそれほど変わらなかった。阿蘇・大分地域およびその周辺に位置する観測点では、地震カタログに基づく予測値が地震動データに基づく予測値と比べて顕著に小さい値を示した。Kubo & Shiomi (2025)は余震の発生位置が最初の大地震の震源と同じであるという強い仮定を有しているため、最初の大地震の震源から離れた場所で余震が活発化した場合、その地域における予測は過小評価となる。他方で、予測地点での揺れのデータを直接活用するSawazaki (2021, 2025)は、余震分布を仮定する必要がなく、近傍で発生した余震による強い揺れもそのまま予測に反映される。この違いが、2016年熊本地震本震において震源から離れた場所でも余震活動が生じた阿蘇地域や大分地域における予測の違いとなって現れたと考える。今後は観測記録との比較を行いつつ、さらなる検討を進めていく。
謝辞:本研究は、文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものです。
Kubo & Shiomi(2025)は、大地震直後の地震カタログの不完全性を考慮した地震活動予測手法(Omi et al. 2013, 2016)と緊急地震速報に採用されている地震動予測手法、確率論的な地震動ハザード評価手法を統合し、防災科学技術研究所Hi-netの自動震源カタログに適用することで、余震地震動ハザードを面的に予測するスキームである。Sawazaki (2021, 2025)は、Hi-net連続地震動記録の区間最大振幅データに極値統計解析を施すことで、観測地点における余震地震動ハザードを予測するスキームである。なおHi-netは地中での観測記録であるため、過去記録に基づいて求めたKiK-net地表地震動記録と地中地震動記録間のオフセットの平均値を用いて、Hi-net地表相当の揺れに換算する。ここでは2016年熊本地震本震(M 7.3)発生から6時間後・12時間後・18時間後までのデータを用いて、それぞれの経過時間から1日後までに任意の値以上の計測震度が観測される確率(超過確率)の予測を行い、Hi-net観測点における地表相当の余震ハザードを比較した。
その結果、各手法で求められたHi-net観測点ごとの余震ハザードには正の相関が確認された。一方で地震カタログに基づく予測の方が全体的により小さい値を示す傾向が見られた。また予測開始時間による違いも若干見られたが、全体的な傾向はそれほど変わらなかった。阿蘇・大分地域およびその周辺に位置する観測点では、地震カタログに基づく予測値が地震動データに基づく予測値と比べて顕著に小さい値を示した。Kubo & Shiomi (2025)は余震の発生位置が最初の大地震の震源と同じであるという強い仮定を有しているため、最初の大地震の震源から離れた場所で余震が活発化した場合、その地域における予測は過小評価となる。他方で、予測地点での揺れのデータを直接活用するSawazaki (2021, 2025)は、余震分布を仮定する必要がなく、近傍で発生した余震による強い揺れもそのまま予測に反映される。この違いが、2016年熊本地震本震において震源から離れた場所でも余震活動が生じた阿蘇地域や大分地域における予測の違いとなって現れたと考える。今後は観測記録との比較を行いつつ、さらなる検討を進めていく。
謝辞:本研究は、文部科学省の情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)JPJ010217の助成を受けたものです。
