講演情報
[S24-05][招待講演]3次元断層形状の動的破壊過程に与える効果とコミュニティ断層モデル整備の重要性
*安藤 亮輔1 (1. 東京大学)
最近のおよそ10年間で,実際に発生した大地震を対象にして断層の非平面形状を考慮した動的破壊シミュレーションが多数実行されるようになってきた.これには,世界的な大型計算機の整備とともに,境界積分方程式法や不連続ガラーキン法などの断層形状の非平面性を比較的容易に高精度に扱える数値計算手法のソフトウェアが普及してきたことが大きい.また,観測的には,合成開口レーダーなどで取得された高空間分解能を持つ観測データが地震発生後に迅速に提供され,事前の地形・地質学的調査によりすでに記載されていた活断層地表トレースならびにそこから推定されていた地下の断層面との整合性が多くの事例で確認されていることが重要である.さらには,応力場の推定が発震機構を用いた応力テンソル逆解析等で明らかにされているような地域が広範に拡大していることが,力学的な解釈に重要な拘束を与えている.
これらのシミュレーション研究は事後的解析ではあるが,動的破壊過程を支配する物理的要素を明らかにしつつある.著者らの2024年能登半島地震を含むいくつかの事例研究によると,断層滑り量や破壊伝播速度の時空間分布などの動的破壊過程の特徴量は,第一義的に断層形状によって支配されていた.より詳細な観測記録との一致のために,摩擦パラメタや初期応力分布を逆解析的にチューニングする研究もあるが,そのような詳細なチューニング無しでも,実記録と直接比較可能な程度に大局的特徴が再現されていることは注目されるべきである.地震ハザード予測の精度を動力学的モデルと断層形状の観測情報を用いて高めることを試みたとき,モデルが逆問題的なパラメタチューニング無しでどの程度の再現性が得られるのか,不確実性はどの程度なのか,多数の自然地震の観測を用いて系統的に検証することが重要である.
このような非平面断層をモデル化した動的破壊過程の理解は,動的破壊過程の個性が摩擦パラメタの平面断層上での空間分布に帰着されるの理解とは一線を画す.すなわち,特に,摩擦パラメタの詳細な空間分布を観測で拘束することは現状で非常に難しいのに対して,断層形状の推定も容易ではないものの,まだ見込みがある.さらに,従来の活断層長期評価で考慮されてきたように,地下の断層形状を推定するために地表での断層トレースを拘束条件として使用できる.内陸の大地震の破壊伝播距離は走向方向に長く,深さ方向ではなく走向方向の断層形状変化が重要な役割を果たすため,地表トレースは実に重要である.
米国西部やニュージーランド,台湾などでは,コミュニティ断層モデルとして,地表から地下まで一貫した3次元断層形状モデルを対象領域の全域に渡って構築する組織的な取り組みが進んでいる.そこで得られた知見は,米国のUCERF3やニュージーランドのNSHMなど,長期予測に用いるモデルに様々に反映されている.日本でも「建議」の枠組みで,日本版コミュニティ断層モデルの構築が進んでおり,2025年度内にはプロトタイプを地震や活断層の研究コミュニティに公開し評価に供すべく作業が進んでいる.
これらのシミュレーション研究は事後的解析ではあるが,動的破壊過程を支配する物理的要素を明らかにしつつある.著者らの2024年能登半島地震を含むいくつかの事例研究によると,断層滑り量や破壊伝播速度の時空間分布などの動的破壊過程の特徴量は,第一義的に断層形状によって支配されていた.より詳細な観測記録との一致のために,摩擦パラメタや初期応力分布を逆解析的にチューニングする研究もあるが,そのような詳細なチューニング無しでも,実記録と直接比較可能な程度に大局的特徴が再現されていることは注目されるべきである.地震ハザード予測の精度を動力学的モデルと断層形状の観測情報を用いて高めることを試みたとき,モデルが逆問題的なパラメタチューニング無しでどの程度の再現性が得られるのか,不確実性はどの程度なのか,多数の自然地震の観測を用いて系統的に検証することが重要である.
このような非平面断層をモデル化した動的破壊過程の理解は,動的破壊過程の個性が摩擦パラメタの平面断層上での空間分布に帰着されるの理解とは一線を画す.すなわち,特に,摩擦パラメタの詳細な空間分布を観測で拘束することは現状で非常に難しいのに対して,断層形状の推定も容易ではないものの,まだ見込みがある.さらに,従来の活断層長期評価で考慮されてきたように,地下の断層形状を推定するために地表での断層トレースを拘束条件として使用できる.内陸の大地震の破壊伝播距離は走向方向に長く,深さ方向ではなく走向方向の断層形状変化が重要な役割を果たすため,地表トレースは実に重要である.
米国西部やニュージーランド,台湾などでは,コミュニティ断層モデルとして,地表から地下まで一貫した3次元断層形状モデルを対象領域の全域に渡って構築する組織的な取り組みが進んでいる.そこで得られた知見は,米国のUCERF3やニュージーランドのNSHMなど,長期予測に用いるモデルに様々に反映されている.日本でも「建議」の枠組みで,日本版コミュニティ断層モデルの構築が進んでおり,2025年度内にはプロトタイプを地震や活断層の研究コミュニティに公開し評価に供すべく作業が進んでいる.
