講演情報
[S25-05]津波波形記録から見た2025年カムチャツカ地震(M8.8)のすべり分布
*藤井 雄士郎1、佐竹 健治2 (1. 建築研究所 国際地震工学センター、2. 国立中央大学(台湾))
2025年7月30日(JST)に発生したカムチャツカ地震(2025/7/29 23:24:52 (UTC),52.551°N,160.259°E,深さ35.0 km,M8.8,USGSより)による津波は,太平洋沿岸の検潮所や沖合に設置された海底水圧計(DART)で広範囲に観測された.日本では北海道から小笠原諸島,沖縄地方にかけた太平洋沿岸で津波警報・注意報が発表された.日本の検潮所の記録を見ると,津波の振幅は第一波より後続波の方が大きい傾向にある.各検潮所では数十cmの最大波が記録され,久慈港では1.4 mの最大波が記録されている(気象庁報道発表資料より).海外の検潮所の記録(UNESCO/IOC)を見ると,米国領サモアのPago Pagoで1 m,ハワイのKahuluiで1.4 m,Hiloで1.2 m,米国西海岸のCresent Cityで1.2 m,チリのAricaで0.6 mの最大波が記録されている.一方,DARTの記録(NOAA)を見ると,ほとんどの観測点で津波の最大波は第一波に現れている.各観測点の振幅は数cmから数十cmで,震源に最も近いDARTでは,0.8 m程度の津波が記録されている.
暫定的な津波シミュレーション(IISEE)として,Johonson and Satake (1999)による1952年11月のカムチャツカ地震の断層モデルや,USGSのWフェーズモーメントテンソル解(NP1),有限断層モデルを参考にM8.8程度の一枚断層を仮定した.この断層モデルによる海底の静的変動を矩形断層モデル(Okada, 1985)で計算し,津波伝播の初期条件とした.海底地形データとして,GEBCO_2024の15弧秒グリッドデータを24弧秒のグリッドデータに再サンプリングして使用した.津波伝播を計算するため,線形長波方程式を有限差分法(Satake, 1995)を用いてGPGPUにより数値的に解いた.津波シミュレーションの結果,上記の観測津波波形を概ね再現できることが分かった.ただし,計算津波波形にはWatada et al. (2014)の方法による位相補正を施す必要がある.その効果は,米国西海岸やオーストラリア・ニュージーランド,中南米といった遠地の観測点で顕著で,チリ沖のDART観測点では,線形長波に比べて最大波の出現が20分程度遅れる.
本研究では,上記の津波波形記録を用いて2025年カムチャツカ地震の津波波源となる断層のすべり分布を推定する.津波波形インバージョンでは,断層を100 km×50 kmの小断層に分割し,Slab2モデル(Hayes et al., 2018)に沿うように傾斜角を設定した断層モデルを用い,DARTの記録のみ,或いは検潮所の記録のみを使用した解析を実施する.また,1952年カムチャツカ地震についても,2025年の記録が得られている同じ検潮所の記録を用いた津波波形インバージョンを試みる.
文献
GEBCO Compilation Group (2024), doi:10.5285/1c44ce99-0a0d-5f4f-e063-7086abc0ea0f
Hayes, G.M., et al. (2018), doi:10.1126/science.aat4723
IISEE, https://iisee.kenken.go.jp/staff/fujii/TsunamiTop.html
Johnson, J.M. and Satake, K. (1999), doi:10.1007/s000240050243
気象庁報道発表資料, https://www.jma.go.jp/jma/press/2508/08e/2507jishin.html
NOAA, http://nctr.pmel.noaa.gov/Dart/index.html
Okada, Y. (1985), doi:10.1785/BSSA0750041135
Satake, K. (1995), doi:10.1007/BF00874378
UNESCO/IOC, http://www.ioc-sealevelmonitoring.org
USGS, https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us6000qw60
Watada, S., et al. (2014), doi:10.1002/2013JB010841
暫定的な津波シミュレーション(IISEE)として,Johonson and Satake (1999)による1952年11月のカムチャツカ地震の断層モデルや,USGSのWフェーズモーメントテンソル解(NP1),有限断層モデルを参考にM8.8程度の一枚断層を仮定した.この断層モデルによる海底の静的変動を矩形断層モデル(Okada, 1985)で計算し,津波伝播の初期条件とした.海底地形データとして,GEBCO_2024の15弧秒グリッドデータを24弧秒のグリッドデータに再サンプリングして使用した.津波伝播を計算するため,線形長波方程式を有限差分法(Satake, 1995)を用いてGPGPUにより数値的に解いた.津波シミュレーションの結果,上記の観測津波波形を概ね再現できることが分かった.ただし,計算津波波形にはWatada et al. (2014)の方法による位相補正を施す必要がある.その効果は,米国西海岸やオーストラリア・ニュージーランド,中南米といった遠地の観測点で顕著で,チリ沖のDART観測点では,線形長波に比べて最大波の出現が20分程度遅れる.
本研究では,上記の津波波形記録を用いて2025年カムチャツカ地震の津波波源となる断層のすべり分布を推定する.津波波形インバージョンでは,断層を100 km×50 kmの小断層に分割し,Slab2モデル(Hayes et al., 2018)に沿うように傾斜角を設定した断層モデルを用い,DARTの記録のみ,或いは検潮所の記録のみを使用した解析を実施する.また,1952年カムチャツカ地震についても,2025年の記録が得られている同じ検潮所の記録を用いた津波波形インバージョンを試みる.
文献
GEBCO Compilation Group (2024), doi:10.5285/1c44ce99-0a0d-5f4f-e063-7086abc0ea0f
Hayes, G.M., et al. (2018), doi:10.1126/science.aat4723
IISEE, https://iisee.kenken.go.jp/staff/fujii/TsunamiTop.html
Johnson, J.M. and Satake, K. (1999), doi:10.1007/s000240050243
気象庁報道発表資料, https://www.jma.go.jp/jma/press/2508/08e/2507jishin.html
NOAA, http://nctr.pmel.noaa.gov/Dart/index.html
Okada, Y. (1985), doi:10.1785/BSSA0750041135
Satake, K. (1995), doi:10.1007/BF00874378
UNESCO/IOC, http://www.ioc-sealevelmonitoring.org
USGS, https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us6000qw60
Watada, S., et al. (2014), doi:10.1002/2013JB010841
