講演情報
[S25-09]カムチャツカ半島で過去に発生した巨大地震
*佐竹 健治1、藤井 雄士郎2 (1. 国立中央大学(台湾)、2. 建築研究所)
2025年のカムチャツカ地震(M 8.8)の震源域付近では,過去にも巨大地震が発生している.
1737年10月16日の地震はM 8.3と推定されている(Kondorskaya and Shebalin, 1982)が,カムチャツカやアラスカで最大10mを超える津波が報告されており(NOAAデータベース),Gusev and Shumilina (2004)は,Mwを9.2としている.
1841年5月17日の地震は,Mは8.4と推定されているが,カムチャツカで15m,ハワイでも1-4.6mの津波が記録されており,津波マグニチュード Mtは9(Abe, 1979), Mwも9.0としている(Gusev and Shumilina, 2004).
1952年11月4日の地震についても,ハワイで最大5mの津波が記録されており,Mt 9.0とされている.また,地球自由振動・長周期地震波から震源域の長さ600 km, Mw 9.0とされている(Kanamori,1976).いっぽう,津波波形からはMw 8.8,長さ500 km, 二つの大すべり域で最大10 mのすべりが推定されている (Johnson and Satake, 1999).津波堆積物からは,規模は同程度であるが,大きなすべりの位置は,やや浅かったとされている(MacInnes et al., 2010).なお,Johnson and Satakeのすべり分布は,遠地津波における弾性地球との結合効果(Watada et al., 2014)が考慮されておらず,この効果を考慮すると,大すべり域は沈み込み帯の浅い側へシフトする.日本や太平洋沿岸各地での1952年と2025年の津波波形を比較すると,1952年の方が若干振幅が大きいところが多いが,両者はよく似ていることから,両地震の規模や震源域などは似ていた可能性が高い.
カムチャツカ半島では,過去4000年間に30層以上の津波堆積物が発見されている.過去の地殻変動の痕跡からは,4000年間に3回,大きな断層幅の地震が発生したと推測されている(Pinegina et al., 2020)ことから,繰り返し間隔は130年~1300年程度と推測された(佐竹, 2024). 上記のように1737年,1841年の地震もM9クラスであったとすると,平均繰り返し間隔は110年程度となり,他の沈み込み帯に比べて非常に短い.
文献
Abe K 1979. doi:10.1029/JB084iB04p01561
Gusev AA and Shumilina LS 2004 https://ns.emsd.ru/~gusev/2004/gusev_2004_recurrece.pdf
Johnson JM and Satake K 1999. doi:10.1007/s000240050243
Kanamori H 1976. doi:10.1016/0031-9201(76)90066-2
Kondorskaya NV and Shebalin NV, 1982. https://catalog.hathitrust.org/Record/002186768
MacInnes BT et al. 2010. doi:10.1785/0120090376
National Geophysical Data Center / World Data Service: doi:10.7289/V5PN93H7
Pinegina TK et al. 2020. doi:10.1016/j.quascirev.2020.106171
佐竹健治 2024. doi:10.60191/eqj.2024.78_75
1737年10月16日の地震はM 8.3と推定されている(Kondorskaya and Shebalin, 1982)が,カムチャツカやアラスカで最大10mを超える津波が報告されており(NOAAデータベース),Gusev and Shumilina (2004)は,Mwを9.2としている.
1841年5月17日の地震は,Mは8.4と推定されているが,カムチャツカで15m,ハワイでも1-4.6mの津波が記録されており,津波マグニチュード Mtは9(Abe, 1979), Mwも9.0としている(Gusev and Shumilina, 2004).
1952年11月4日の地震についても,ハワイで最大5mの津波が記録されており,Mt 9.0とされている.また,地球自由振動・長周期地震波から震源域の長さ600 km, Mw 9.0とされている(Kanamori,1976).いっぽう,津波波形からはMw 8.8,長さ500 km, 二つの大すべり域で最大10 mのすべりが推定されている (Johnson and Satake, 1999).津波堆積物からは,規模は同程度であるが,大きなすべりの位置は,やや浅かったとされている(MacInnes et al., 2010).なお,Johnson and Satakeのすべり分布は,遠地津波における弾性地球との結合効果(Watada et al., 2014)が考慮されておらず,この効果を考慮すると,大すべり域は沈み込み帯の浅い側へシフトする.日本や太平洋沿岸各地での1952年と2025年の津波波形を比較すると,1952年の方が若干振幅が大きいところが多いが,両者はよく似ていることから,両地震の規模や震源域などは似ていた可能性が高い.
カムチャツカ半島では,過去4000年間に30層以上の津波堆積物が発見されている.過去の地殻変動の痕跡からは,4000年間に3回,大きな断層幅の地震が発生したと推測されている(Pinegina et al., 2020)ことから,繰り返し間隔は130年~1300年程度と推測された(佐竹, 2024). 上記のように1737年,1841年の地震もM9クラスであったとすると,平均繰り返し間隔は110年程度となり,他の沈み込み帯に比べて非常に短い.
文献
Abe K 1979. doi:10.1029/JB084iB04p01561
Gusev AA and Shumilina LS 2004 https://ns.emsd.ru/~gusev/2004/gusev_2004_recurrece.pdf
Johnson JM and Satake K 1999. doi:10.1007/s000240050243
Kanamori H 1976. doi:10.1016/0031-9201(76)90066-2
Kondorskaya NV and Shebalin NV, 1982. https://catalog.hathitrust.org/Record/002186768
MacInnes BT et al. 2010. doi:10.1785/0120090376
National Geophysical Data Center / World Data Service: doi:10.7289/V5PN93H7
Pinegina TK et al. 2020. doi:10.1016/j.quascirev.2020.106171
佐竹健治 2024. doi:10.60191/eqj.2024.78_75
