講演情報
[P001]薬学部における知識統合を促進する教育の取り組み状況
【発表者】羽田 理恵1、矢野 良一1、角山 香織1、加藤 隆児1、佐藤 卓史1、中村 敏明1 (1. 大阪医科薬科大学薬学部 (日本))
【背景・目的】基礎から臨床まで様々な専門科目を学習する薬学部の学生にとって、科目間の学習内容を結び付け、自ら活用できる概念として理解するプロセス(知識統合)は重要である。薬学教育において学生の知識統合を促進する効果的な教育手法を開発するための基礎資料を得ることを目的として、知識統合に関する各大学の具体的な取り組みについて調査を行った。
【方法】全国の薬学部79施設を対象に郵送でアンケート調査への協力を依頼した。回答方法はMicrosoft Formsへの入力を主とし、メールまたは郵送による回答も受け付けた。調査実施時期は2024年6月〜7月の2か月間とした。各大学のホームページよりカリキュラム・ポリシー(CP)のテキストデータを収集し、質的分析ソフトウェアNVivo 15(QSR International)による記載内容のコーディングに基づき、知識統合に関するポリシーを抽出し、「統合」という語の登場する文脈を解析した。本研究はJSPS科研費JP23K09590及び24K06113の助成を受けて実施した。
【結果・考察】26施設(32.9%)から回答が得られた。このうち知識統合の促進を主目的とした科目は16施設で開講されており、開講年次では4年が9施設と最も多く、次いで6年、5年であった。授業の目的として、知識統合を意識した記載内容の他、課題発見・問題解決力の醸成、薬剤師としての実践能力向上等を挙げている大学もあった。具体的な取り組みとして、シラバス記載の工夫、複数領域の教員による授業、科目横断的な演習科目の設置、FD開催等が挙げられており、施設の状況に合わせた工夫が認められた。CPの中に「統合」の語が認められたのは31施設であり、そのうち文脈から明らかに「知識統合」について謳われていたのは21施設(26.6%)であった。知識統合を促す取り組みが我が国の薬学部全体で行われているとは言い難い現状が伺えた。今回の調査で得られた好事例を広く共有し、各大学での実践が進むことで、知識統合を促進する教育の向上が期待される。
【方法】全国の薬学部79施設を対象に郵送でアンケート調査への協力を依頼した。回答方法はMicrosoft Formsへの入力を主とし、メールまたは郵送による回答も受け付けた。調査実施時期は2024年6月〜7月の2か月間とした。各大学のホームページよりカリキュラム・ポリシー(CP)のテキストデータを収集し、質的分析ソフトウェアNVivo 15(QSR International)による記載内容のコーディングに基づき、知識統合に関するポリシーを抽出し、「統合」という語の登場する文脈を解析した。本研究はJSPS科研費JP23K09590及び24K06113の助成を受けて実施した。
【結果・考察】26施設(32.9%)から回答が得られた。このうち知識統合の促進を主目的とした科目は16施設で開講されており、開講年次では4年が9施設と最も多く、次いで6年、5年であった。授業の目的として、知識統合を意識した記載内容の他、課題発見・問題解決力の醸成、薬剤師としての実践能力向上等を挙げている大学もあった。具体的な取り組みとして、シラバス記載の工夫、複数領域の教員による授業、科目横断的な演習科目の設置、FD開催等が挙げられており、施設の状況に合わせた工夫が認められた。CPの中に「統合」の語が認められたのは31施設であり、そのうち文脈から明らかに「知識統合」について謳われていたのは21施設(26.6%)であった。知識統合を促す取り組みが我が国の薬学部全体で行われているとは言い難い現状が伺えた。今回の調査で得られた好事例を広く共有し、各大学での実践が進むことで、知識統合を促進する教育の向上が期待される。