講演情報
[P007]疑似科学的主張への薬剤師の関わりの検証 (第6報)~自由記述回答内容の自然言語処理AIを用いた対応傾向の分析~
【発表者】鵜川 真実1、松本 麻里1、渡部 智文2、大平 愼1、角田 大1,3 (1. 医療創生大薬、2. 星薬大、3. 医療創生大院生命理工)
【目的】 薬剤師は疑似科学的主張(科学的考察がされていないにもかかわらず、あたかもそれが行われているかの様に扱われる現象および思考)に対する批判的思考を持ち、一般市民や患者に対し科学的根拠に基づいた健康・医療に関する助言や指導を行う役割が求められている。日本薬学会第144年会にて、ドラッグストアの来店者が健康維持・促進をうたう疑似科学的商品を求めて来店したときの対応について、全国の薬剤師・登録販売者を対象に行ったアンケート調査結果について定性的な分析について報告した。本発表では、このアンケートにおける回答内容 (a) と、調剤薬局において疑似科学的な商品を使用している患者が来店した時の対応に関する回答内容 (b) について、薬剤師の対象者に絞って分析を行った。
【方法】 (a)および(b)からそれぞれ物質名を表す単語および自然科学実験に関する単語を選び出した。Pythonのスクリプトを用いてこれらの単語を含む群と含まない群に分け、回答者の属性および疑似科学批判尺度 (Pseudoscience Criticism Scale, PCS)(Watanabe T et al. Pharmacy. (2024) 12:165) などとの関連を調べた。また、AIをベースにした自然言語処理技術であるBERT (Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いて回答内容の特徴から回答者群を2群に分け、特徴を調べた。
【結果】 (a)の回答に物質名や実験系を表す単語を1つ以上使用した回答者は有意にPCSが高いことが示された。(a)(b)どちらのアンケートにおいてもBERTで分かれた2群において、片方の群では文章の長さが有意に長く、ポジティブ・ネガティブどちらでもない中立的な意見が多くなり、PCSが有意に高いという結果が得られた。
【考察】 感情的に中立な文章を展開する能力と疑似科学に対する理解度に相関があることが示唆された。こうした能力を有しているから疑似科学に強いのか、疑似科学に対する理解が深いから論理的な表現が可能になるのか、あるいは第三の要因があるのかは、現段階では明らかでない。今後は、こうした言語的特性と専門的判断力との関連をさらに明確にすることで、疑似科学への対応力を高める教育プログラムの開発に貢献できると考えられる。
【方法】 (a)および(b)からそれぞれ物質名を表す単語および自然科学実験に関する単語を選び出した。Pythonのスクリプトを用いてこれらの単語を含む群と含まない群に分け、回答者の属性および疑似科学批判尺度 (Pseudoscience Criticism Scale, PCS)(Watanabe T et al. Pharmacy. (2024) 12:165) などとの関連を調べた。また、AIをベースにした自然言語処理技術であるBERT (Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いて回答内容の特徴から回答者群を2群に分け、特徴を調べた。
【結果】 (a)の回答に物質名や実験系を表す単語を1つ以上使用した回答者は有意にPCSが高いことが示された。(a)(b)どちらのアンケートにおいてもBERTで分かれた2群において、片方の群では文章の長さが有意に長く、ポジティブ・ネガティブどちらでもない中立的な意見が多くなり、PCSが有意に高いという結果が得られた。
【考察】 感情的に中立な文章を展開する能力と疑似科学に対する理解度に相関があることが示唆された。こうした能力を有しているから疑似科学に強いのか、疑似科学に対する理解が深いから論理的な表現が可能になるのか、あるいは第三の要因があるのかは、現段階では明らかでない。今後は、こうした言語的特性と専門的判断力との関連をさらに明確にすることで、疑似科学への対応力を高める教育プログラムの開発に貢献できると考えられる。