講演情報

[P086]学力向上のためのWEBキャンパス構築とその活用

【発表者】飯村 菜穂子1 (1. 新潟薬科大学 薬学部 薬学教育センター)
【目的】学力向上には主体性やどのように学習を行うのかという方略が重要とされている。大学入試選抜法の多様化が進んだことも1つの要因と思われるが、近年の入学生は、様々な背景をもつ学生も多く、学習支援の方法も個人の学習状況に合わせて行われることが求められている。筆者もこれまで学習支援に個人カルテを利用する手法を取り入れていたが、それらをさらに発展させるため、WEBキャンパスの構築に注力してきた。今回、それを利用した入学直後教育、個人に対する学習支援の実践例について紹介する。
【方法】WEBキャンパスには、教員からの学習コースセット、学習教材の管理、学習状況の把握と学習記録の管理、課題提出、グループ学習用のディスカッションシステム等が搭載されている。今回、入学直後教育では、オリジナル教材を学習コースに盛り込み、1年生を対象に学習記録、課題提出などの機能を活用しながら授業を実施し、学習効果について検討した。また、学習に対する不安や悩みを抱えた学生には面談を行い、学習計画と学習法の探索及び見直しや成績分析を行った後、学習サポートデザインを考慮した学習コースで個人指導を行い、その効果についても検討を行った。
【結果と考察】これまでの個人カルテを使用した方法では、学生の学習進捗を定期的な面談を繰り返すことで把握しなければならず、教員と学生の面談日程の調整に煩わしさがあった。しかしWEBキャンパスの開発によって、学生ひとり一人の学習状況を教員が常に見守ることができ、フィードバックもスムーズに行うことが可能になった。学生はこのシステムを活用することで、何をどのように、どのくらいの時間をかけて取り組めば目標の到達が叶うのかを知ることができると共に、学習時間確保に対する工夫や自己学習に対する積極性の向上につながったと思われる。今後は、既存の自己学習支援演習ソフトと連携させ、アウトプット型学習の強化に努め、薬剤師国家試験や共用試験対策における学習支援システムとして有効活用できるよう拡張していきたいと考えている。