講演情報
[P094]ePROを活用した支持療法アカデミック・ディテーリング教育プロジェクトにおける自己評価アンケートの解析
【発表者】田中 怜1,3、佐藤 淳也1、尾関 理恵2、斎藤 顕宜3、清水 忠4、西森 久和5、宮嶋 篤志6、小茂田 昌代7、関根 郁夫8 (1. 湘南医療大学 薬学部、2. 順天堂大学 薬学部、3. 東京理科大学 薬学部、4. 兵庫医科大学 薬学部、5. 広島市立広島市民病院 血液内科、6. 明治薬科大学 薬学部、7. 千葉西総合病院 薬剤部、8. 筑波大学 医学医療系)
【目的】アカデミック・ディテーリング(以下、AD)とは、公正中立な基礎薬学と臨床のエビデンスに基づく医薬品比較情報を医師に提供する活動である。ADを実践するには、ガイドラインや臨床研究論文を吟味して活用する能力に加え、十分な医薬品の基礎薬学特性を比較し、患者の基礎疾患や併用薬などの背景を考慮した臨床意思決定の考え方を基に、患者に最適な処方を提案できるスキルを身に付け、さらに医師の処方行動に影響を与えるコミュニケーション・スキルを取得することが必要となる。本発表では、薬剤師を対象としたADを習得する年4回コースの研修受講者の教育効果を報告する。
【方法】本教育プロジェクトは2022年から2024年にかけて、1) 医薬品の基礎薬学、2) 臨床論文の批判的吟味、3) ePROを活用したがん患者症例における地域多職種連携と処方提案研修、4) 医師に対するディテーリングの4研修を実施した。研修コースの効果は、コース開始前・コース中間期・コース終了後の3時点において、受講者にリッカート尺度6段階の21個の質問からなるアンケートを行った。6段階のうち、肯定的回答 (非常にそう思う、そう思う、少しそう思う)と否定的回答(あまりそう思わない、そう思わない、全くそう思わない)の2項目に分類し、研修コース前と研修コース終了後において、有意水準を5%と定めカイ二乗検定を用いて比較を行った。
【結果】プロジェクトに応募した74名中、4回の研修を完遂した薬剤師は57名であり、研修前後のアンケートにおいて21個中6個の質問で有意に肯定的回答が増加した。最も増加した質問は「薬の構造式の違いを理解している」:31→62%であった(P = 0.003)。一方で、「臨床エビデンスを参考にしている」:82→91%(P = 0.211)などの質問では有意な差は認められなかった。また、いずれの質問についても有意な否定的回答の増加は見られなかった。
【考察】研修前に肯定的回答の少ない傾向のあった基礎薬学に関する質問は、研究後の肯定的回答の増加率が高く有意差が認められたと考えられる。しかし、臨床論文の吟味やコミュニケーションに関する質問は研修前から肯定的回答が多かったため、今回の研修者数では有意な差は認められなかったと考えられる。
【結論】本教育プロジェクトは受講者のADの実践に必要な基礎薬学的知識や処方提案の意識を高めたと考えられる。
【方法】本教育プロジェクトは2022年から2024年にかけて、1) 医薬品の基礎薬学、2) 臨床論文の批判的吟味、3) ePROを活用したがん患者症例における地域多職種連携と処方提案研修、4) 医師に対するディテーリングの4研修を実施した。研修コースの効果は、コース開始前・コース中間期・コース終了後の3時点において、受講者にリッカート尺度6段階の21個の質問からなるアンケートを行った。6段階のうち、肯定的回答 (非常にそう思う、そう思う、少しそう思う)と否定的回答(あまりそう思わない、そう思わない、全くそう思わない)の2項目に分類し、研修コース前と研修コース終了後において、有意水準を5%と定めカイ二乗検定を用いて比較を行った。
【結果】プロジェクトに応募した74名中、4回の研修を完遂した薬剤師は57名であり、研修前後のアンケートにおいて21個中6個の質問で有意に肯定的回答が増加した。最も増加した質問は「薬の構造式の違いを理解している」:31→62%であった(P = 0.003)。一方で、「臨床エビデンスを参考にしている」:82→91%(P = 0.211)などの質問では有意な差は認められなかった。また、いずれの質問についても有意な否定的回答の増加は見られなかった。
【考察】研修前に肯定的回答の少ない傾向のあった基礎薬学に関する質問は、研究後の肯定的回答の増加率が高く有意差が認められたと考えられる。しかし、臨床論文の吟味やコミュニケーションに関する質問は研修前から肯定的回答が多かったため、今回の研修者数では有意な差は認められなかったと考えられる。
【結論】本教育プロジェクトは受講者のADの実践に必要な基礎薬学的知識や処方提案の意識を高めたと考えられる。