講演情報

[P098]「薬剤師のかかりつけ機能強化のための研修シラバス」を指標とした卒後教育の取り組み

【発表者】山田 雅也1、神田 秀一郎1、古代 晃士1、菊池 幸助1、中島 輝久1、麻生 真由美1、濵野 峰子1、龍田 涼佑1、麻生 裕子1、加納 史也1、朝倉 裕輔1、近藤 晃嗣1、松本 康弘1、副 守尋1、前原 理佳1、伊東 弘樹1、菅田 哲治1、脇田 佳幸1、中芝 高彦2 (1. (公社)大分県薬剤師会 薬学生涯教育委員会 (日本)、2. (公社)大分県薬剤師会 (日本))
【【目的】我々は、日本薬剤師会が策定した「薬剤師のかかりつけ機能強化のための研修シラバス(以下研修シラバス)」を指標とし、2021年度より「かかりつけ機能強化セミナー」と称する新たな卒後研修プログラムを計72回開催した。本発表では、この取り組みの概要に加え、本シラバスの項目IIIに該当する病態生理セミナーの受講後アンケート結果を報告する。
【方法】指標:研修シラバスのⅠ章:5項目、Ⅱ章:16 項目、Ⅲ章:12 項目の計33 項目(1項目の複数回開催可)、講師:原則、県内の会員薬剤師、形式:ハイブリッド、頻度:1~2回/月。アンケートは項目Ⅲ(病態生理、42回開催)で実施、アンケート内容:薬剤師経験年数、理解度、適切度、回答理由、その他・意見。
【結果】
未開催項目:患者安全、薬理学、製剤学、薬学的観察・評価、ハイリスク薬、文献評価、医薬品情報の活用、薬学的知見に基づく記録、免疫系,感染症,小児。開催数72回、延参加者数:7920名、うち項目Ⅲの参加者数4506名、アンケート回答率:55.6%(延回答者数2518名)、アンケート結果:薬剤師経験年数 ~5年(7%)、~10年(11%)、~15年(7%)、~20年(12%)、~25年(19%)、~30年(16%)、31年以上(28%)、理解度 非常に理解できた(21%)、理解できた(58%)、やや理解できた(20%)、理解できなかった(1%)、適切度 非常に適切(33%)、適切(61%)、やや適切(6%)、あまり適切でなかった(0%)。理由については、理解しやすい、患者指導に役立つ等であったが当日報告する。
【考察】
かかりつけ機能強化を目的に研修シラバスを指標とすることは、薬局薬剤師の役割を漏れなく計画するうえで有用である。一方、かかりつけ機能とは、どのレベルのスキルが求めるのかは研修シラバスには具体的ではなく、我々も講師の采配に任せており、研修内容のバラツキを生む原因となっている可能性があり、今後の課題と感じた。ただ、参加者数やアンケート結果から、卒後研修プログラムとして一定の評価を得られたと推察した。しかし、研修内容の均質性を確保するためには、スキルレベルの具体化と、講師間の連携強化が今後の課題として挙げられる。今後は、継続的な評価と改善を通じて、より質の高い卒後教育プログラムを構築していく予定である。