講演情報

[P102]福岡大学で実施した「3学科合同多職種連携教育ワークショップ」~取り組み紹介と今後の発展に向けて~

【発表者】刀根 菜七子1、緒方 憲太郎1,2、小迫 知弘1、松尾 宏一1、林 稔展1、山内 淳史1、安高 勇気1,2、三島 健一1、北島 研3、大田 博3、宮城 由美子3、小玉 正太3、松末 公彦1 (1. 福岡大学薬学部、2. 福岡大学病院薬剤部、3. 福岡大学医学部)
【目的】2024年8月、福岡大学では他職種との相互尊重と協働を実践的に学ぶことを目標に、3学科(医看薬)を対象とした合同多職種連携教育ワークショップ(以下 WS)を開催し、看護学科と薬学科から各29名の計58名が参加した。WSではBreast Cancer Network Japan あけぼの会による基調講演後、10 班に分かれて事例検討と発表を行った。本研究では、WS後に実施したアンケート調査結果を解析し、本学薬学部の教育課題を抽出し、改善策を検討することを目的とした。
【方法】アンケート調査は、リッカート尺度(11段階)を用いた選択式回答が24項目、自由記述回答が8項目の計32項目とした。調査内容は、WSに参加したことによる学生自身の変化(基調講演、事例検討、グループディスカッション)、WSの内容について等である。選択式回答は、0〜6点、7〜8点、9〜10点の3つに分類し、学科間での差異を検証するため、看護学科(n=28)と薬学科(n=28)の2群に分けて、Mann-Whitney U 検定(IBM SPSS Statistics)を用いて統計解析した。自由記述回答の解析にはテキストマイニング(KHCoder 3)を用いた。
【結果・考察】56名から回答が得られた(回収率97%)。選択式回答24項目中8項目に有意差が認められ、いずれも薬学科より看護学科のスコアが高かった。8項目の内訳は「患者・家族の気持ちに寄り添うこと」等、“患者”に関する4項目、「多職種と連携して、患者・家族が抱える問題への解決策を見いだすこと」、「他職種の意見を聞いた上で、さらに自分の意見や提案を述べること」等、問題解決能力や積極性に関する3項目、「多職種連携での、看護師の役割」であった。テキストマイニングの結果、「医療における“多職種連携”の中で、あなたはどのように患者に関わることができると思いますか」に対する頻出上位語で学科間の差異がみられた。薬学生は、学部教育の過程で、臨床経験や患者と直接接する機会が看護学生と比べて少ないことや、参加者の臨床実習経験の有無が、今回の結果に影響を与えた可能性がある。今後は、より低学年の段階から“患者”を意識し、問題解決能力や積極性を涵養する教育を実践することで、将来、多職種連携に、積極的に関与できる薬剤師の育成につなげたい。