講演情報

[P106]学校薬剤師と養護教諭の協働による保健指導教材の開発と教育現場での活用

【発表者】清水 真紀1、今井 美子2、岩見 真由美3、五郎丸-新海 美智子1 (1. 東邦大学薬学部 (日本)、2. 千葉県船橋市教育委員会 (日本)、3. 千葉県船橋市立三山中学校 (日本))
【背景・目的】2009年施行の学校保健安全法および同施行規則により、学校薬剤師(学薬)の職務に「保健指導への協力」が明記され、学薬は環境衛生の専門家にとどまらず、児童生徒への健康教育にも関与する役割が期待されるようになった。しかし実際には、学薬の保健指導への参画は限定的である。そこで、すべての学薬が活用可能な教材の作成を試み、現場での使用例とともに報告する。
【方法】2022年6~7月に千葉県船橋市の教職員と学薬を対象に実施したアンケート結果1)をもとに、学校現場が求める健康課題を抽出し、学薬に求められる参画内容を検討した。その結果を踏まえ、「学校薬剤師からのワンポイントアドバイス」と題した教材群を作成。中学生を対象に動画教材2編を視聴後アンケートを実施し、ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析( https://textmining.userlocal.jp/ )で、教育効果を検証した。
【結果・考察】教材は「生活習慣(睡眠)」「スマホ・ネット・ゲーム依存」「くすりの安全な使い方」「食物アレルギーとエピペン®」「オーバードーズ」の5テーマで、PowerPoint(6枚)、動画(約5分)、リーフレット(B5判4ページ)を作成した。動画はYouTubeに、PDF教材はWebサイト(ふなばし学校保健&学校薬剤師研究会 URL:https://www.lab2.toho-u.ac.jp/phar/doutai/F-SHP/)にて公開した。アクセス解析ではPowerPoint教材への関心が高く、特に検索経由での訪問が多かった。中学1年生には「スマホ・ネット・ゲーム依存」「くすりの安全な使い方」の動画を視聴後アンケートを実施した。自由記述をテキストマイニングした結果、教材で伝えたかった語が高スコアで抽出され、我々の教材の有効性が示唆された。
【助成】本研究は JSPS 科研費 JP22K03010 の助成を受けたものです。
1) 清水真紀、今井美子、五郎丸(新海)美智子、新保幸洋(2025):公立学校における学校保健課題の調査―学校薬剤師が学校保健に参画するための健康課題の抽出―.YAKUGAKU ZASSHI(薬学雑誌), in press.