講演情報

[P104]医薬品販売の資格である医薬品登録販売者の現状と問題点

【発表者】中込 和哉1、堀 美智子1、堀 博昭1、横田 敏1、篠原 陽子1、川島 光太郎1 (1. 一般社団法人日本薬業研修センター (日本))
ドラッグストアなどで一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品を販売することできる医薬品登録販売者は、2006年の薬事法改正によって誕生した。ドラッグストアには、必ず薬剤師か医薬品登録販売者が勤務していなければならず、店舗管理者には薬剤師か医薬品登録販売者しかなれない。加えて、風邪薬、痛み止め、花粉症の薬、胃腸薬などは第2類、第3類医薬品であり、一般用医薬品の9割以上を占めていることから、一般用医薬品販売の現場にはなくてはならない存在となっている。 医薬品登録販売者になるためには、都道府県が実施する試験に合格する必要があり、試験合格者は2024年度までで累計40万人を超え、医薬品登録販売者として働いている人は約28万5000人(2023年度)を数えるまでになっている。 登録販売者試験は、都道府県ごとに実施され、現在は全国7ブロック(北海道東北、北関東甲信越、南関東、東海北陸、近畿福井徳島、中国四国、九州)に分けて年1回実施されている。2017年度から受験制限が撤廃されたため、誰でも受けられる試験となり、「小学生が合格した」と話題になったこともある。その半面、試験に合格しさえすれば、一般用医薬品を販売する職に就くことができ、我々の健康を大きく左右する立場に立つことになるので、医薬品登録販売者の資質向上と店頭での顧客とのコミュニケーション能力の向上が重要になる。 試験は2時間で60問を2コマ、計120問のうち70%以上正解で合格、医薬品概論、薬理、薬事法規、販売業など、多岐にわたって出題され、さながら「ミニ薬剤師国試」といった様相である。各分野で足切りも、35%か40%(都道府県により異なる)設定されている。2024年度は受験者数54,526人、合格者数25,459人、合格率46.9%と、決してやさしい試験ではない。全国7ブロックごとに違う問題のため、合格率に差が出ており、2024年度は最も高かったのは東海北陸ブロック55.8%、最も低かったのは九州ブロック30.3%であり、25%もの差が生じた。 最近では若年者のオーバードーズ問題、一般用医薬品が原因となる薬物依存症が深刻化している。対象となる一般用医薬品はほとんどを医薬品登録販売者が販売している現状において、医薬品登録販売者の資質向上が急務となっている。