講演情報

[P108]動画を用いた啓発活動による、女性への自動体外式除細動器を使用した 心肺蘇生法実施に対する意識変化に関する検討

【発表者】岡本 紗惠1、鈴木 正論1,2、小原 道子1,3 (1. 帝京平成大学薬学部 (日本)、2. 医療法人鉄蕉会亀田総合病院 (日本)、3. 公益財団法人日本ヘルスケア協会 (日本))
【目的】
AED(Automated External Defibrillator,自動体外式除細動)を使用したCPR(Cardiopulmonary Resuscitation, 心肺蘇生法 )は救命のために非常に重要となる。しかしながら、女性に対する院外心停止における CPR の実施率が男性と比べて少なく、 CPR を実施するための対応策が周知されていない状況である。そこで、我々は薬局および薬店勤務の従事者を対象として女性に対する AED を用いた CPR が実施できるために動画を用いた情報提供を実施することとした。本研究の目的は、情報提供前後における意識変化をアンケート調査で比較することとした。
【方法】
研究デザインは複数施設・質的記述的研究(アンケート調査)とした。対象施設は、公益財団法人日本ヘルスケア協会等で協力施設を募集した。対象者は動画視聴の前後にアンケートに回答することとし、期間は 2025 年 4 月 2 日から 2025 年 4 月 22 日の間に、薬局および薬店従事者を対象として実施した。アンケート内容は、回答者の属性、CPR や AED の使い方、性差による対応意識などに関するものとした。アンケート前後での意識変化を検定した。統計解析は、JMPPro18.1.2を用い、統計学的有意水準は 0.05 未満とした。
【結果】
対象回答者 639 名の内、薬剤師 431 名、医療事務その他 208 名で女性が 451 名と過半数であった。経験年数は、1~2年目が48名、3~9年目が210名、10年目以上312名であった。1回目と2回目のアンケート調査で有意な変化を示した項目は、「AED講習は、緊急時に迅速な対応と適切な使い方ができるように必要だと思う」(p=0.2735)以外で認められ、最もあてはまりがよい項目は「女性に AED を使用するとき、プライバシーの配慮方法を知っている。」(p<0.001)だった。
【考察】
今回のアンケート調査結果から、AED を使用する際のプライバシーの配慮方法に関する動画を用いた啓発活動により、意識を変化させることができたと考える。緊急時にAED を迅速に使用することは重要であるが、それと共に AED を使用する際のプライバシーの配慮方法の知識を身につけることも重要であると考える。