講演情報

[P122]武蔵野大学薬学部生のキャリアデザイン進展に関する調査研究

【発表者】八巻 史子1、西丸 宏1、加瀬 義夫1、永倉 透記1 (1. 武蔵野大学薬学キャリア教育研究センター (日本))
【背景・目的】6年制薬学部卒業者の就職先候補としては、保険薬局、ドラッグストア、病院のほか、製薬企業、CRO、SMO、行政機関など多様な選択肢が存在する。しかしながら、大多数の薬学部生は薬剤師資格を使用する保険薬局、病院などを候補として選択し、実際に就職している。武蔵野大学薬学部(以下、本学)では、3年次必修科目として様々な職種で活躍する本学卒業生を招き、卒業後の職業選択肢の多様性について講演していただく機会を設けるなど、キャリアデザイン教育の充実を図っている。これらをより効果的、かつ、有意義なものとするためには、学生がどの時期に自身のキャリアデザインを意識し、進展させて職業を決定するのかを把握する必要があるが、薬学生のキャリアデザインに対する意識に関して学年縦断的な調査はほとんど行われていない。本研究では、本学の1-6年生にアンケート調査を実施して学生のキャリアデザインに対する意識の変遷および進展推移を把握するとともに、本学におけるキャリアデザイン教育が学生のキャリアデザイン進展に与える効果について検証する。【方法】2025年度本学に在籍する1-6年生にアンケート調査を実施した(武蔵野大学倫理委員会承認:R6-5)。調査項目は、1)自身のキャリアデザインについて、2)就職を希望する職業、決定時期・理由、3)就職に対する意識など計16項目とし、回答は選択式(一部自由記載)とした。【結果・考察】自身のキャリアデザインについてある程度以上考えていると回答した学生は全体の約70%を占め、2、3年生と徐々に減少したが4年生で増加に転じ、6年生では100%となった。希望する就業先としては全学年とも病院または調剤薬局が過半数を占めたが、1-5年生では企業(医薬品関連など)を希望する学生も多くみられた。職業選択の際には、自分の特性に合う仕事内容であることを重視する学生が多かった。また、進路の決定に影響する要因としては多数の学生が両親と回答したが、一定数の学生が本学のキャリアデザイン関連講義を挙げた。本結果は、本学でも医療現場で薬剤師として就業を希望する学生が過半数を占める中で、企業を希望する学生も相当数存在することが明らかとなり、学生が職業選択肢の多様性を認識していることが示唆された。また、3年次のキャリア関連講義を契機として学生がキャリアデザインを熟慮する可能性が示唆された。