講演情報

[P124]学生の自己評価から分析するチームによる蘇生を取り入れたBLS実習の教育効果

【発表者】下山 多映1、村田 拓哉1、中村 康宏1、板垣 文雄1、丸山 桂司2,4、大藏 直樹1,3 (1. 帝京大学薬学部 (日本)、2. 帝京平成大学薬学部 (日本)、3. 帝京大学シミュレーション教育研究センター (日本)、4. 帝京平成大学シミュレーション教育研究センター (日本))
【目的】医療機関における心肺停止などの緊急時、薬剤師も医療チームの一員として他職種と円滑にコミュニケーションを取り一次救命処置(BLS)を行う必要がある。帝京大学薬学部では、4年生を対象にチームによる蘇生を取り入れたBLS実習を実施している。今回、本実習による教育効果と今後の課題について検討を行った。
【方法】本実習は帝京大学薬学部2024年度4年生242名を対象に行い、学生は事前にBLSに関する動画を視聴したうえで、Resusci Anne QCPR(Laerdal Medical)を用い、4~6名のチームで胸骨圧迫、人工換気、およびAED装着を含む7分間のBLSを実施した。 実習前後にチーム蘇生に関する知識、技能、態度について5段階のリッカート尺度を用いた自己評価アンケートを行った。加えて実習前にBLS訓練経験、実習後に実習に対する評価、およびBLSに関する自己効力感に関するアンケートを同様の尺度で実施した。実習後には自由記述の振り返りアンケートも実施した。
【結果・考察】実習を受講した242名のうち、記入漏れのあった学生を除く236名分(97.5%)を解析対象とし、実習前後に実施した知識・技能に関する自己評価18項目のスコアについてPaired t-testを行った。その結果、すべての項目で実習後のスコアが有意に上昇した。知識に関する自己評価10項目の平均スコアは3.43から4.62と上昇し、技能に関する自己評価8項目の平均スコアは3.33から4.52と上昇した。また実習前スコアと実習前後のスコア差について検討を行ったところ、実習前スコアが低い項目ほど実習前後のスコア差が大きい傾向が見られた。最も実習前後のスコア差が大きかった設問は「バッグバルブマスクを用いた人工呼吸法を説明できる」および「バッグバルブマスクを用いた人工呼吸法を実践できる」であった(スコア差1.95)。元々理解度が低く実践に自信がなかった項目ほどスコアが伸びていることから、実習の内容・指導が適切であったことが示唆された。また「一次救命処置の訓練にこの実習は有用である」など、実習そのものの評価、BLSに関する自己効力感に関する項目については、いずれも4.80以上の高いスコアであった。本大会ではBLSに対する認識や意欲への実習の影響について、自由記述の解析結果も報告する予定である。