講演情報
[P049]漢方に対する薬学実務実習修了学生の意識等の調査と漢方教育の有用性
【発表者】成橋 和正1、當銘 一文1 (1. 同志社女子大学薬学部、臨床薬学教育研究センター (日本))
【目的】6年制薬学教育では、モデル・コア・カリキュラムに基づき教育内容の約7割が共通化されているが、残りの約3割は各大学の方針で編成される。本学では、漢方薬に関する教育として、2〜3年次の「生薬学I・II」を必修、6年次の「東洋医学特論」を選択科目として提供している。「東洋医学特論」では、実務実習修了後の学生に対し、基礎から臨床での活用例までを教授している。しかし、実習先での漢方の取り扱いには差があり、学生の学びの質や意欲にも影響を及ぼしていると考えられる。そこで本研究では、実務実習修了生を対象に、実習や講義が漢方に対する理解・意識に与える影響を調査した。
【方法】対象は本学薬学部6年次の「東洋医学特論」を履修した学生とし、①実務実習前後の漢方に対する意識変化、②講義内容の習得状況と有用性についてそれぞれ質問紙調査を実施した。①意識調査では、過去の報告を参考に22項目を設定し、「実習前後の比較」を強調した内容とし、講義開始時に調査した。②講義内容の習得状況に関する調査は、「知識に関する項目」「内容理解に関する項目」「臨床現場での応用・コミュニケーションに関する項目」の3領域について自由記述も含めた12項目を設定し、講義開始前後に同一の設問を用いて調査した。本調査は同志社女子大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】実習後には、全体として理解度や関心の向上が見られた一方、実習で漢方に触れる機会がなかった学生の理解は伸び悩んでいた。施設間の実習内容の違いが、学習経験の差として現れていた。講義においては、漢方薬の特徴や多様性についての理解が深まり、服薬指導や患者とのコミュニケーションに役立つとする声が多かった。OTC医薬品の知識向上や代替の可否に関する判断においても可・不可のみの短絡的な回答だったのが、特に自由記述から、講義を通して内容を理解出来たことが示されていた。
【考察】本調査を通じて、実践的な学びの機会が学生の理解や関心に一定の影響を与える可能性が示唆された。また、実務実習後であるからこそともいえるが、将来の薬剤師としての仕事に活かせると実感できる漢方教育ができたと考えている。今後は、学内外の教育資源を効果的に組み合わせ、教育内容の標準化と柔軟性の両立を図ることが、将来的な薬剤師の資質向上につながると考えられる。
【方法】対象は本学薬学部6年次の「東洋医学特論」を履修した学生とし、①実務実習前後の漢方に対する意識変化、②講義内容の習得状況と有用性についてそれぞれ質問紙調査を実施した。①意識調査では、過去の報告を参考に22項目を設定し、「実習前後の比較」を強調した内容とし、講義開始時に調査した。②講義内容の習得状況に関する調査は、「知識に関する項目」「内容理解に関する項目」「臨床現場での応用・コミュニケーションに関する項目」の3領域について自由記述も含めた12項目を設定し、講義開始前後に同一の設問を用いて調査した。本調査は同志社女子大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】実習後には、全体として理解度や関心の向上が見られた一方、実習で漢方に触れる機会がなかった学生の理解は伸び悩んでいた。施設間の実習内容の違いが、学習経験の差として現れていた。講義においては、漢方薬の特徴や多様性についての理解が深まり、服薬指導や患者とのコミュニケーションに役立つとする声が多かった。OTC医薬品の知識向上や代替の可否に関する判断においても可・不可のみの短絡的な回答だったのが、特に自由記述から、講義を通して内容を理解出来たことが示されていた。
【考察】本調査を通じて、実践的な学びの機会が学生の理解や関心に一定の影響を与える可能性が示唆された。また、実務実習後であるからこそともいえるが、将来の薬剤師としての仕事に活かせると実感できる漢方教育ができたと考えている。今後は、学内外の教育資源を効果的に組み合わせ、教育内容の標準化と柔軟性の両立を図ることが、将来的な薬剤師の資質向上につながると考えられる。