講演情報

[P099]東邦大学薬学部1年次の早期臨床体験中へ専門職連携教育を導入したことによる学習効果
-施設見学報告書のテキストマイニングによる解析-

【発表者】木下 雅子1、瀧川 正紀1、増田 雅行1、山口 哲生2 (1. 東邦大学薬学部臨床薬剤学研究室、2. 東邦大学共通教育機構・医学部)
【目的】東邦大学薬学部1年次に開講されている早期臨床体験は、薬学出身者が活躍する現場を見聞し、社会的な医療従事者のニーズや多職種連携の重要性を理解することを目標として、2023年度までは薬学部のみで実施してきた。令和4年度改訂医学および薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、「未来の社会や地域を見据えて、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」が共有のキャッチフレーズとして謳われ、「医療者としての根幹となる資質・能力を醸成し、多職種で複合的な協力を行い、多様かつ発展させうる社会の変化の中で活躍することが求められる。」と示されたのを受け、2024年度から本科目の一部を医学部と合同で実施した。具体的には、医学部生と薬学部生が合同で施設見学とその前後にSGDを行った。本研究では、薬学部生が作成した施設見学報告書のテキストマイニングにより合同実習の学習効果を検討した。

【方法】2023年度(87名)・2024年度(159名)に早期臨床体験を履修した者のうち、病院の薬剤部または保険薬局へ見学に行った薬学部1年生の早期臨床体験報告書「施設見学を終えて(440文字程度)」と「早期臨床体験を通じて学んだこと(300文字程度)」に記載されたテキストデータを、KHCoder ver.3.0を用いてテキストマイニングを行った。テキストマイニングでは、抽出語の抽出を行った後、共起ネットワークの作成、実施年度を外部変数とした対応分析を行った。

【結果・考察】2023年度・2024年度どちらの報告内容も、「薬剤師」という語が最も多く記載されていた。また、2023年度の共起ネットワークは、「薬剤師」と「行う」などが共起されており、見学を通じて知ったことが記載されていた。一方、2024年度では、「薬剤師」、「医師」、「看護師」と「多職種」、「連携」が共起されており、学生は多職種連携について学んだことが明らかとなった。実施年度を外部変数とした対応分析では、2023年度は、「思う」・「考える」など学生自身の思考を表す語が、また、2024年度では、「病棟」・「処方」・「医療」など医療に関する語が特徴的であった。これらの結果は、医学部生と施設見学の前後にSGDを実施したことにより施設見学が自身の経験に留まらず、医療についての知識の共有が図れたことを示唆するものである。