講演情報
[P103]過疎地域の中規模公立病院における研究促進のための課題調査
~大学協働による多職種向け研修システムの構築~
【発表者】鶴居 勝也1、荒木 遼太1、小川 紗知1、讓原 千広1、波多 晶子1、中澤 美樹子1、橋爪 和恵1、窪田 真弓1、田口 雅登2 (1. 公立南砺中央病院薬剤科 (日本)、2. 富山大学学術研究部 薬学・和漢系 実践薬学研究室 (日本))
【目的】
地域医療における多職種連携の質を持続的に向上させるには、各専門職が生涯学習や自己研鑽を通じて知識・技能を継続的に習得することが不可欠である。しかし、過疎地域の中規模病院では、診療技術部門の組織規模が小さく、職種毎に研究組織を構成することは困難である。従って、こうした環境にある医療専門職による研究活動支援のための新たな施策の開発は緊要性が高い課題である。本研究では、診療技術部を統括する薬剤師と富山大学薬学部教員が協働し、過疎地域の中規模公立病院の診療技術部職員による研究促進に向けた施策立案の前段階として、研究活動に対する不安要因と課題を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。
【方法】
診療技術部職員38名を対象に、学会参加と臨床研究に関するアンケート調査を実施した。設問は選択式と自由記述式で構成し、計15項目を設定した。自由記述文の分析にはKH Coder(ver.3,Beta) を用い、共起ネットワーク分析および対応分析を実施した。
【結果】
職員の84.2%が学会参加を希望するも、97.4%が臨床研究に不安を感じていた。具体的に「統計解析」「クリニカルクエスチョンの立て方」「データの取り方」「研究結果のまとめ方」「研究計画書の作成」「プレゼンテーションの方法」は、半数以上の職員の不安要因であり、これらの課題は全職種に共通していた。一方、「研究計画書の作成」「プレゼンテーションの方法」「学会発表スライドの作成」「倫理審査委員会の対応」の不安に関して、薬剤師は他職種と比べ約40%以上少ないことから、他職種よりも研究活動の実践知が継承・共有されていると考えられた。共起ネットワーク分析からは、臨床研究がスキルアップに必要であるという認識とともに、データ解析への不安が示唆された。対応分析では、臨床研究経験の少ない職員ほど研究計画やテーマ設定への不安が大きいことが明らかとなった。
【考察】
施設規模と課題の共通性を考慮すると、当院では多職種合同での研修システム構築が可能と考えられた。さらに、当院では研究活動に係る実践知の継承・共有において、薬剤師が重要な役割を果たし得ることが示唆された。リカレント教育の一環として、大学教員による出張講義や研究相談、さらには新たな研究手法・アイデアが導入できれば、中規模病院の医療専門職による研究活動の活性化に有効な施策であると考えられた。
地域医療における多職種連携の質を持続的に向上させるには、各専門職が生涯学習や自己研鑽を通じて知識・技能を継続的に習得することが不可欠である。しかし、過疎地域の中規模病院では、診療技術部門の組織規模が小さく、職種毎に研究組織を構成することは困難である。従って、こうした環境にある医療専門職による研究活動支援のための新たな施策の開発は緊要性が高い課題である。本研究では、診療技術部を統括する薬剤師と富山大学薬学部教員が協働し、過疎地域の中規模公立病院の診療技術部職員による研究促進に向けた施策立案の前段階として、研究活動に対する不安要因と課題を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施した。
【方法】
診療技術部職員38名を対象に、学会参加と臨床研究に関するアンケート調査を実施した。設問は選択式と自由記述式で構成し、計15項目を設定した。自由記述文の分析にはKH Coder(ver.3,Beta) を用い、共起ネットワーク分析および対応分析を実施した。
【結果】
職員の84.2%が学会参加を希望するも、97.4%が臨床研究に不安を感じていた。具体的に「統計解析」「クリニカルクエスチョンの立て方」「データの取り方」「研究結果のまとめ方」「研究計画書の作成」「プレゼンテーションの方法」は、半数以上の職員の不安要因であり、これらの課題は全職種に共通していた。一方、「研究計画書の作成」「プレゼンテーションの方法」「学会発表スライドの作成」「倫理審査委員会の対応」の不安に関して、薬剤師は他職種と比べ約40%以上少ないことから、他職種よりも研究活動の実践知が継承・共有されていると考えられた。共起ネットワーク分析からは、臨床研究がスキルアップに必要であるという認識とともに、データ解析への不安が示唆された。対応分析では、臨床研究経験の少ない職員ほど研究計画やテーマ設定への不安が大きいことが明らかとなった。
【考察】
施設規模と課題の共通性を考慮すると、当院では多職種合同での研修システム構築が可能と考えられた。さらに、当院では研究活動に係る実践知の継承・共有において、薬剤師が重要な役割を果たし得ることが示唆された。リカレント教育の一環として、大学教員による出張講義や研究相談、さらには新たな研究手法・アイデアが導入できれば、中規模病院の医療専門職による研究活動の活性化に有効な施策であると考えられた。