講演情報

[P002]「状況設定問題」を利用した学修成果の評価に関わる取り組みの報告―第2期薬学教育評価結果を受けて-

【発表者】髙橋 真樹1、岡本 能弘1、安東 賢太郎1 (1. 千葉科学大学薬学部)
【背景・目的】第2期薬学教育評価(本評価)を受審したが、「カリキュラム・ポリシーに学修成果の評価方法が十分に記載されていない」、「学生個人へのフィードバックが不十分である」、「アセスメント・ポリシーチェックリストの評価項目についての再検討が必要である」など、教学マネジメント上の問題点を指摘された。学修成果の評価を志向した既存の取り組みを体系化し、「アセスメント・ポリシーチェックリスト」の再構築を図り、現在に至っている。「状況設定問題」を利用した学修成果の項目を新設し、卒業後のキャリア形成に資するフィードバックを行うよう改定し、2024年度に評価とフィードバックを実施した。取り組みについて報告するとともに、討論を通じて見識を深めたい。
【状況設定問題】ディプロマ・ポリシーに掲げた資質・能力を構成要素とし、医療や公衆衛生におけるリスク・マネジメント及びクライシス・マネジメントを想定した問題である。ある状況に対して個別の知識・態度等の何をどう組み合わせるかに関する実践的思考・判断能力を問うような2問1組の多肢選択問題である。第1問では状況設定文を読んで薬剤師として適切な判断や行動を選択できるかという「Action」に係る内容を尋ね、第2問では「第1問」を解答するのに必要な個別の知識等を問うている。2024年度は18組36問を作成し、2024年11月1日に6年次学生に対して実施した。問題の中身については発表当日に公開する。
【学生へのフィードバック】「アセスメント・ポリシーチェックリスト」では、薬剤師国家試験と併せて学生にフィードバックすることを謳っているため、第110回薬剤師国家試験の問181~問345より、「状況設定問題」の第1問に相当する問題を抽出した。抽出された73問を「医療or公衆衛生」「リスク・マネジメントorクライシス・マネジメント」という観点で4シーンのいずれに該当するか精査した上で、「状況設定問題」の結果と併せて学生ごとに卒業後のキャリア形成に資するようなコメントを付した個票を作成し、メールに添付するかたちでフィードバックを行った(2025年4月1日)。
【課題】公衆衛生に係る問題が少なく、評価の誤差が大きくなった。また、第1問と第2問の解答選択肢に応じた問題組ごとの評価を行う体系が構築されていないため、今後、検討する。