講演情報
[P006]薬学生の汎用的技能スコアと学修成績との関連
【発表者】福留 誠1 (1. 神戸学院大学 (日本))
【目的】
大学生の汎用的スキルを測定するアセスメントツールであるGPA-academic(GPSA)は、問題解決能力としての「思考力」、問題解決に向かう姿勢や態度としての「姿勢・態度」、問題解決能力を高めるための「経験」、及び「学びへの意欲」の4領域に分類される。GPSAにより得られた個人の回答データは、実施校にExcel形式で提供されるが、これらのデータを教育改善にどのように活用するかについては、明確なエビデンスが十分に示されていない。すなわち、GPSAで測定される能力が在学中の学習成果にどの程度寄与するかは不明であり、教員がこれらの能力育成の重要性を認識しにくい状況にある。そこで本研究では、GPSAによって測定された能力値と、学業成績(GPA)との関連性を検討することとした。
【方法】
GPSAは、「思考力」4項目、「姿勢・態度」11項目、「経験」13項目、「学びへの意欲」1項目の計29項目からなる。「姿勢・態度」のスコアは、ベネッセi-キャリアが定めた基準に基づき、偏差値形式で算出される({項目得点または能力値-平均値}/標準偏差 × 10 + 50)。「経験」及び「学びへの意欲」については、それぞれ達成率に基づいてスコア化される。具体的には、「学びへの意欲」は、「非常にあてはまる(6点)」~「まったくあてはまらない(0点)」の4段階、「経験」は「とてもよくやっていた(4点)」~「ぜんぜんやっていなかった(0点)」の5段階で評価された。これらの29項目とGPAとの相関関係を分析した。
【結果・考察】
分析の結果、GPAとの有意な相関が確認されたのは、「姿勢・態度」領域における「リーダーシップ_粘り強くやり抜く力(持続力・誠実性・勤勉性)」、及び「経験」領域の「自己管理_続ける経験」、さらに「思考力」の総合スコアであった。これらの結果は、学業成績と特定の汎用的スキルとの関連性を示唆している。 一方、1年次に測定されたGPSAスコアと、同一学生の4年次スコアを比較したところ、4年次においてスコアの上昇は見られず、むしろわずかながら低下傾向が認められた。この結果は、GPSAで測定される能力が在学中に十分に育成されていない可能性を示唆しており、今後、これらの能力をいかにして教育的に育成していくかが課題であると考えられる。
大学生の汎用的スキルを測定するアセスメントツールであるGPA-academic(GPSA)は、問題解決能力としての「思考力」、問題解決に向かう姿勢や態度としての「姿勢・態度」、問題解決能力を高めるための「経験」、及び「学びへの意欲」の4領域に分類される。GPSAにより得られた個人の回答データは、実施校にExcel形式で提供されるが、これらのデータを教育改善にどのように活用するかについては、明確なエビデンスが十分に示されていない。すなわち、GPSAで測定される能力が在学中の学習成果にどの程度寄与するかは不明であり、教員がこれらの能力育成の重要性を認識しにくい状況にある。そこで本研究では、GPSAによって測定された能力値と、学業成績(GPA)との関連性を検討することとした。
【方法】
GPSAは、「思考力」4項目、「姿勢・態度」11項目、「経験」13項目、「学びへの意欲」1項目の計29項目からなる。「姿勢・態度」のスコアは、ベネッセi-キャリアが定めた基準に基づき、偏差値形式で算出される({項目得点または能力値-平均値}/標準偏差 × 10 + 50)。「経験」及び「学びへの意欲」については、それぞれ達成率に基づいてスコア化される。具体的には、「学びへの意欲」は、「非常にあてはまる(6点)」~「まったくあてはまらない(0点)」の4段階、「経験」は「とてもよくやっていた(4点)」~「ぜんぜんやっていなかった(0点)」の5段階で評価された。これらの29項目とGPAとの相関関係を分析した。
【結果・考察】
分析の結果、GPAとの有意な相関が確認されたのは、「姿勢・態度」領域における「リーダーシップ_粘り強くやり抜く力(持続力・誠実性・勤勉性)」、及び「経験」領域の「自己管理_続ける経験」、さらに「思考力」の総合スコアであった。これらの結果は、学業成績と特定の汎用的スキルとの関連性を示唆している。 一方、1年次に測定されたGPSAスコアと、同一学生の4年次スコアを比較したところ、4年次においてスコアの上昇は見られず、むしろわずかながら低下傾向が認められた。この結果は、GPSAで測定される能力が在学中に十分に育成されていない可能性を示唆しており、今後、これらの能力をいかにして教育的に育成していくかが課題であると考えられる。