講演情報

[P033]鈴鹿医療科学大学における薬学部オリジナル入学前教育プログラムの教育効果の検証

【発表者】藤原 朋也1、石嶋 康史1、黄檗 達人1、三輪 高市1、西田 圭吾1 (1. 鈴鹿医療科学大学薬学部 (日本))
【目的】近年,少子化や大学の大衆化に伴う大学入学者の学力低下が喫緊の問題となっている。この問題への取り組みの一つとして,多くの大学で入学前教育が実施されている。鈴鹿医療科学大学でも以前から入学前教育プログラムを実施してきたが,外部業者が提供する全学共通の内容を基本としているため,薬学部の初年次教育との連携が十分でなかった。このような背景下,我々は薬学部入学生が大学での学習・生活をスムーズにスタートできるように,学部オリジナルの入学前教育プログラムを2022年度(令和4年度入学生向け)にスタートさせ,今年(令和7年度入学生向け)で4回目となった。本研究は学部オリジナル入学前教育プログラムの教育効果を検証する。
【方法】本プログラムは,演習(e-ラーニング形式)と解説講義(ハイブリッド形式),不定期で併催する在学生との交流会,キャンパスツアー等で構成されている。実施科目には,本学部でリメディアル科目が開講されている高校理科(物理,化学,生物)を選択した。対象者は早期に受験が終了する総合型・推薦型選抜入試合格者で,任意参加とした。実施期間は2月初旬~3月下旬(入学直前)とした。なお,2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響のため,講義はオンデマンド形式のみとなっている。2022年度~2024年度の入学生をプログラム参加者,不参加者,非対象者に分類し,入学直後のプレースメントテストの結果や1年生前期のリメディアル科目[物理(化学計算),化学,生物]の成績,1年生終了時のGPA(Grade Point Average)および留年,退学者数を比較した。
【結果と考察】プログラム参加者のアンケートでは,本プログラムが入学に対する不安感の解消につながっているという意見が多くみられた。入学直後の高校理科のプレースメントテストは,多くの場合で参加者の平均点が全体平均を下回っていたが,1年生前期のリメディアル科目の成績は参加者の平均点が全体平均とほぼ同等か,上回る結果となった。また,1年生終了時のGPAは参加者が不参加者,非対象者に比べて高くなる傾向がみられた。さらに,留年・退学者数が参加者で不参加者,非対象者に比べて少なくなる傾向もみられた。今後,上位学年の成績や留年・退学者数等も調査することで,本プログラムの効果をさらに評価していきたいと考えている。