講演情報
[P048]薬学生に対する筋肉注射演習を通じた教育効果の検討―被接種者対応への意識変化を中心に―
【発表者】稲垣 孝行1、早川 伸樹1、守屋 友加1、伊東 亜紀雄1、黒野 俊介1、長谷川 洋一1 (1. 名城大学薬学部 (日本))
【目的】薬剤師によるワクチン接種が求められた際に対応が可能なように、名城大学薬学部では2022年度より4年次生を対象として筋肉注射手技の演習を開始した。学生はペアを組み、被接種者役が上腕部にシミュレータを装着し、薬剤師役が筋肉注射手技を実演している。初年度は技術面を中心としたが、2年目以降は被接種者への配慮を中心とした演習へ変更した。そこで本演習の教育効果を振り返ることを目的に、学生の演習後レポートをテキストマイニングで分析した。
【方法】2022年度・2024年度の4年次生各232名・252名を対象とした。医師教員による講義、ワクチン調製手順や筋肉注射手技の解説動画視聴、教員によるデモ後に学生同士で薬剤師役・被接種者役を実演する流れで演習を行った。演習後のレポートは、2022年度は単に気づいたことを、2024年度は薬剤師役・被接種者役としてそれぞれの気づいたことを自由記載させた。テキストマイニングソフトを用いて各単語の出現頻度や関連性を解析し、出現頻度はカイ二乗検定で検討した。
【結果】2022年度はレポートの回答者数225名(回答率97.0%)、2024年度は薬剤師役の回答者数251名(回答率99.6%)、被接種者役の回答者数249名(回答率98.8%)であった。2022年度と2024年度のレポートを比較した結果、2024年度では名詞「患者」、形容詞「難しい」「多い」「怖い」、動詞「思う」の出現頻度が2022年度より有意に高かった(すべてP<0.01)。2024年度は、「声掛け」が薬剤師役では90回、被接種者役では118回であり、いずれも最頻出単語であった。一方、2022年度では「スムーズ」(84回)が最頻出単語であり、2024年度ではその頻度が有意に低下していた(P<0.01)。
【考察】授業の焦点を「筋肉注射手技の習得」から「被接種者への配慮」へシフトした結果、2022年度は手技の円滑さに関心が集まっていたが、2024年度は「声掛け」などの患者への配慮や「怖い」などの緊張感や不安の記載が多くなり、演習を通して患者との関係性や心理的配慮への意識が高まっていたと推察される。本演習が技術の習得だけでなく、声掛けやコミュニケーションを含む患者対応の重要性を学ぶ貴重な機会となったと示唆される。今後も医療者としての視点が広がるプログラムの策定を目指したい。
【方法】2022年度・2024年度の4年次生各232名・252名を対象とした。医師教員による講義、ワクチン調製手順や筋肉注射手技の解説動画視聴、教員によるデモ後に学生同士で薬剤師役・被接種者役を実演する流れで演習を行った。演習後のレポートは、2022年度は単に気づいたことを、2024年度は薬剤師役・被接種者役としてそれぞれの気づいたことを自由記載させた。テキストマイニングソフトを用いて各単語の出現頻度や関連性を解析し、出現頻度はカイ二乗検定で検討した。
【結果】2022年度はレポートの回答者数225名(回答率97.0%)、2024年度は薬剤師役の回答者数251名(回答率99.6%)、被接種者役の回答者数249名(回答率98.8%)であった。2022年度と2024年度のレポートを比較した結果、2024年度では名詞「患者」、形容詞「難しい」「多い」「怖い」、動詞「思う」の出現頻度が2022年度より有意に高かった(すべてP<0.01)。2024年度は、「声掛け」が薬剤師役では90回、被接種者役では118回であり、いずれも最頻出単語であった。一方、2022年度では「スムーズ」(84回)が最頻出単語であり、2024年度ではその頻度が有意に低下していた(P<0.01)。
【考察】授業の焦点を「筋肉注射手技の習得」から「被接種者への配慮」へシフトした結果、2022年度は手技の円滑さに関心が集まっていたが、2024年度は「声掛け」などの患者への配慮や「怖い」などの緊張感や不安の記載が多くなり、演習を通して患者との関係性や心理的配慮への意識が高まっていたと推察される。本演習が技術の習得だけでなく、声掛けやコミュニケーションを含む患者対応の重要性を学ぶ貴重な機会となったと示唆される。今後も医療者としての視点が広がるプログラムの策定を目指したい。