講演情報

[EL3]デジタル社会における薬剤師の役割とは

中尾 豊 (株式会社カケハシ)
〇略歴:
2011年 3月 立教大学 理学部 卒業
2011年 4月 武田薬品工業株式会社 入社
2015年12月 武田薬品工業株式会社 自社設立のため退社
2016年 3月 株式会社カケハシ 創業
2017年 3月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 卒業
2022年 1月 東京薬科大学 薬学部 客員准教授 就任
2023年 4月 新潟薬科大学 客員准教授 就任
現在に至る
〇本文:
 デジタル技術の進展により、薬剤師は患者の様々なデータをより容易に、かつ包括的に収集・分析できるようになることで、下記に挙げられるような変化がもたらされる。電子カルテ・ウェアラブルデバイスからの情報・服薬アドヒアランスのデータ等が統合され、さらにAIが加わることで、その変化は加速し、より効率的で個別化された医療の提供が可能になる。
①  個別化された薬学的介入の最適化とデータ蓄積
それぞれの患者に適した薬学的介入をモニタリングしながら、適切なアプローチを共有し、実施された薬学的介入の結果等がデータとして蓄積される
②  臨床現場とアカデミアの連携強化によるエビデンス構築の加速
データの分析からエビデンスが蓄積されるサイクル(研究計画からデータ収集、分析、そして結果の臨床現場へのフィードバック)の時間が大幅に短縮されることにより、臨床現場とアカデミアが協力しやすい状態となるため、常に最新のエビデンスが構築される
③  AIによる個別化対応と薬学教育への波及
AIが膨大なエビデンスを学習することにより、臨床現場において患者一人ひとりへの個別化された対応の提供が可能となり、AIに問うことが可能となるため、薬学教育のあり方へ波及していく
 デジタルの活用により、薬剤師業務は効率的且つ質の向上を図ることができるのはもちろんのこと、教育機関においても、時代にあった形に変化が必要となってくる可能性が高い。その現状と少し先の未来について講ずる。