講演情報

[EL5-1]洋の東西ホリスティックアプローチの出来る薬局とは

久保田 佳代(株式会社氣生 氣生薬局)
〇略歴:
昭和薬科大学卒業 老舗漢方薬局にて漢方修行 八ツ目漢方薬局 上野支店長
2001年 久保田薬局 漢方薬の氣生 開局
2007年 気生薬局(江戸川区)開局 
2010年 漢方の氣生(新宿区)開局
2015年 株式会社氣生設立  
2018年 事業拡大に伴い移転(豊島区南大塚)
2023年 一般社団法人 漢方マイスター協会 設立 現在に至る 

【資格】 薬剤師 サプリメントアドバイザー 日本プロカウンセリング協会 
1・2級取得 日本誕生学協会認定ベビーマッサージ講師 
〇本文:
 「ホリスティック(Holistic)」とは、「全体的な」「包括的な」という意味です。人間を部分(症状や疾患)ではなく、「心・身体・魂(スピリット)を含めた全体」としてとらえる考え方です。「ホリスティックアプローチの出来る薬局」とは、単に薬を処方するだけでなく、患者さんの身体・心・生活環境・ライフスタイルなどを総合的に見て健康をサポートする薬局と考えますと、漢方薬を処方する東洋医学の概念と一致することは否めません。
 東洋医学の特徴として挙げられることは、全体(心身一如)を重視していることにあります。心と体はつながっており、体全体のバランス(=調和)を大切にするつまりは、木を見て森を見ずではなく森全体を見ていくのです。「気・血・水」や「陰陽」「五行」といった概念で体の状態を把握していきます。また病気ではなく「未病(病気になる前の状態)」に注目し、さらに予防に力を入れます。人と向き合い 患者さんの体質や環境に合わせて個別に対応(オーダーメイド)します。
 対して西洋医学の特徴を考えてみると病気(疾患)や症状にフォーカスし、それを「取り除く・治す」ことを重視します。科学的・客観的な診断(血液検査、画像診断など)と治療をすることにあり、体をパーツとして見て、それぞれの専門医が治療を行います(分業的)。木を見て森を見ずではなく木を見る治療になるのです。またエビデンス(科学的根拠)に基づいた治療を行います。
<ホリスティックアプローチのある薬局の特徴>
●患者中心のカウンセリング
・症状だけでなく、生活習慣・ストレス・食生活・睡眠などもヒアリング。
・患者の価値観や目標を尊重した対応。
●予防医療・未病ケア
・病気になる前のケアを重視。
・栄養相談、生活習慣アドバイス、サプリメントや漢方の提案など。
●西洋医学 × 代替療法の融合
・漢方、アロマセラピー、栄養療法、自然療法なども取り入れる。
・必要に応じて医師や他職種と連携。
●セルフケア支援
・健康測定(血圧・血糖・体組成など)や健康ノートの提供。
・患者自身が自分の健康をマネジメントできるよう支援。
●地域密着・家族ぐるみのサポート
・在宅訪問薬剤管理、家族の健康相談など。
・地域の健康づくりイベントへの参画。
 実際には、「薬膳相談のできる薬局」:薬膳料理教室などイベントを主催し食事からの体質改善を提案。「統合医療協力薬局」:医師と連携し漢方や栄養療法や漢方ファスティングなども提供。