講演情報

[P072]薬剤師国家試験に向けた模擬試験におけるマークミスに関する解析
―学生がマークミスしやすい問題の4つの特徴―

【発表者】吉村 典久1、開 章宏1、細井 信造1 (1. 京都薬科大学 (日本))
【目的】本学では、6年次に薬学ゼミナール主催の薬剤師国家試験対応全国統一模擬試験(以下、模擬試験)を3回(9,11,1月)実施している。模擬試験受験後の学生には、間違えた問題の見直しをすることに加え、マークミス(問題で指示された解答数と異なる数を選ぶこと)による失点を無くすよう指導している。今回、直近3年にわたり実施した計9回の模擬試験について各問題のマークミスの数及び学生がマークミスしやすい問題を解析することで、その傾向や特徴を掴むことを目的とした。
【方法】1)薬学ゼミナールから提供いただいた解答データをもとに、薬学理論問題及び薬学実践問題255題について、問題ごとにマークミスした人数をカウントし本学受験者数に対する割合を算出した。本学受験者の5%以上がマークミスした問題を「マークミスが多い問題」とし、解析の対象とした。続いて、2)各模擬試験において正答が2つ又は1つの問題がそれぞれ何題あるかを調べ、「マークミスが多い問題」の分布状況を明らかにした。さらに、3)「マークミスが多い問題」を解き、前後の問題との関連性や問題の特徴を解析した。
【結果と考察】1)いずれの年度もマークミス総数は9月実施の模擬試験で最も多く、回を重ねるごとに減少した。直近3年間の計9回の模擬試験において「マークミスが多い問題」は71題あり、中には本学受験者の40%以上がマークミスしている問題も見られた。2)正答が2つの問題はおよそ180~200題、正答が1つの問題は60~80題であった。なお、「マークミスが多い問題」71題の分布は、正答が1つであるにも関わらず2つ答えたケースが45題、その逆が26題であったことから、一般問題において正答を1つ選ぶ問題はマークミスする割合が高く、注意を要することが明らかになった。3)「マークミスが多い問題」71題に見られた特徴として、①問題文と選択肢に複数の注目すべき点(処方薬と併用薬等)があるが正答は1つ、②正答を2つ選ぶ問題が連続した後に正答を1つ選ぶ問題、③構造式や薬剤名等を選ぶ五択問題で一見、必須問題のように見えるが正答が2つ、④前問で薬剤を1つ選び、直後にその作用機序を2つ選ぶ複合問題、の4点が挙げられた。
 以上の結果について学修ガイダンス等で学生に伝え注意喚起することで、マークミスによる失点を減らすことに繋がり、総合得点アップが期待できる。